2021/12/15

2023/12/25

認定支援機関(経営革新等支援機関)とは?活用メリットやできることを解説!

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

 

これから起業を考えている方、または起業したばかりの方の中には、経営に関して様々な不安を抱えている方が多いでしょう。

「自分1人では判断がつかない」「誰かに相談したい」と思うことがあるはずです。

そこで、経営に関する相談先の候補のひとつとなるのが「認定支援機関」です。

当記事では、そんな認定支援機関について、活用メリットやできることなどを詳しく解説していきます。

 

認定支援機関とは?

 

認定支援機関とは、中小企業・小規模事業者の“経営課題“の解決を支援する機関を指します。

経済産業省が管轄となっており、正式名称は「経営革新等支援機関」といいます。

中小企業を支援するための専門的知識を有しており、実務経験が一定レベル以上ある者として、国の認定を受けます。

中小企業や小規模事業者は、認定支援機関に相談・活用することで、経営に関するさまざまなアドバイスを受けることができます。

主に、以下のような各分野の専門家が認定を受けています。

  • 税理士
  • 税理士法人
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • 行政書士
  • 商工会議所
  • 金融機関

この認定支援機関は、事業再構築補助金の申請要件である「事業計画を認定支援機関と策定する」ことがあがったことで、さらに注目度が高まりました。

 

認定支援機関を活用するタイミング5選

 

では、どのような時に認定支援機関は必要となるのでしょう。

認定支援機関を活用するタイミングを5つをご紹介します。

 

① 経営を「見える化」したい時

自社の経営相談から、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援します。

 

② 事業計画を作りたい時

経営状況の分析から、事業計画等の策定・実行支援・進捗状況の管理・フォローアップまでサポートします。

 

③ 取引先を増やしたい・販売を拡大したい時

認定支援機関のネットワークを活用し、新規取引先の開拓や販路拡大のサポートをします。

 

④ 専門的課題を解決したい時

海外展開や知的財産の管理等の専門的な課題については、最適な専門家を派遣し、認定支援機関と一体となって支援します。

 

⑤ 金融機関と良好な関係を作りたい時

計算書類等の信頼性を向上させ、資金調達力の向上へとつなげます。

中小企業向け補助金・総合支援サイト/ミラサポplusを参考

 

▼その他、認定支援機関の関与が必要となる国の補助事業

そのほか、以下のような国の補助事業を受けるときは、認定支援機関の関与が必要となります。

  • 事業再構築補助金
  • 月次支援金
  • 新型コロナ対策資本性劣後ローン
  • 中小企業経営強化税制C類型
  • 個人事業者の遺留分に関する民法特例
  • 事業承継・集約・活性化支援資金融資事業
  • 個人版事業承継税制
  • 先端設備等導入計画
  • 事業承継・引継ぎ補助金
  • 企業再建資金
  • 中小企業経営力強化資金融資事業
  • 経営改善計画策定支援事業 
  • 経営力強化保証制度

認定支援機関の関与が必要とされる補助事業の具体的な内容は、以下のファイルをご確認ください。

▸国の補助事業等において必要とされる認定支援機関の役割について

 

認定支援機関を活用するメリット

認定支援機関を活用することで、様々なメリットを受けることができます。

 

メリット1:優遇金利での資金調達

認定支援機関を介して資金調達を行うことで、「日本政策金融公庫」や「信用保証協会」から、優遇金利で資金調達の支援を受けることができます。

  • 日本政策金融公庫

日本政策金融公庫では、中小企業経営力強化資金」の融資制度を活用して資金調達することができます。

創業または経営多角化・事業転換等による新しい事業活動への挑戦を行う中小企業や小規模事業者が利用することができ、保証人・担保が不要な点が大きなメリットです。

 

  • 信用保証協会

信用保証協会では、経営力強化保証制度」の利用時に、保証料を減免しながら資金調達することができます。

金融機関と認定支援機関の連携支援を受け、経営改善に取り組むことが条件となります。

 

メリット2:各種補助金の申請

「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」など、補助金の申請において認定支援機関の活用は最も有名です。

いずれの補助金も、補助金額が高い一方、競争率も高くなっています。

認定支援機関を活用することで、ポイントを押さえた事業計画書の作成などを行ってくれるため、採択率を高めることができます。

 

【ものづくり補助金の第1回~第15回までの応募件数・採択件数・採択率】

公募回 応募件数 採択件数 採択率
第1回 2,287件 1,429件 約62%
第2回 5,721件 3,267件 約57%
第3回 6,923件 2,637件 約38%
第4回 10,041件 3,132件 約31%
第5回 5,139件 2,291件 約45%
第6回 4,845件 2,326件 約48%
第7回 5,414件 2,729件 約50%
第8回 4,584件 2,753件 約60%
第9回 3,552件 2,223件 約63%
第10回 4,224 2,584 約61%
第11回 4,668 2,786 約59%
第12回 3,200件 1,885件 約59%
第13回 3,261件 1,903件 約58%
第14回 4,865件 2,470件 約51%
第15回 5,694件 2,861件 約50%

ものづくり補助金とは? ▶詳しく見る

 

【事業再構築補助金の第1回~第10回までの応募件数・採択件数・採択率】

公募回 応募件数 採択件数 採択率
第1回 22,231件 8,016件 約36%
第2回 20,800件 9,336件 約45%
第3回 20,307件 9,021件 約44%
第4回 19,637件 8,810件 約45%
第5回 21,035件 9,707件 約46%
第6回 15,340件 7,669件 約50%
第7回 15,132件 7,745件 約51%
第8回 12,591件 6,456件 約51%
第9回 9,369件 4,259件 約45%
第10回 10,821 5,205件 約48%

事業再構築補助金とは? ▶詳しく見る

 

 

メリット3:専門家からの経営支援・対応策が明確になる

認定支援機関は、専門知識や一定の実務経験があることを国からの審査を経て、認定を受けています。

認定支援機関に相談することで、財務分析や経営の状況を把握できます。そうすることで、課題を発見でき、目標が明確化され、コスト面や経営体質の強化など経営改善につなげることができます。

 

 

メリット4:税制優遇制度の利用

認定支援機関では、税制優遇制度を利用でき、以下の税制優遇を受けることができます。

  • 事業承継税制

事業承継税制は後継者が事業承継に伴う株式の相続などで支払う相続税や贈与税を猶予してもらえる制度です。

制度を利用するには、認定支援機関のサポートが必要となります。

  • 先端設備導入計画

先端設備等導入計画とは、生産性を向上させる設備投資に対して固定資産税の優遇を受けられる制度です。

制度を利用するには、認定支援機関のサポートが必要となっています。

 

 

メリット5:経営改善計画策定支援

経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)の支援を受けられるのもメリットのひとつです。

  • 経営改善計画策定支援事業
  • 早期経営改善計画策定支援事業

の2種類があり、それぞれ以下の違いがあります。

経営改善計画策定支援事業 早期経営改善計画策定支援事業
概要 借入金の返済負担等、財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者が対象。

金融機関への返済条件等を変更し資金繰りを安定させながら、経営の改善を支援します。

資金繰りの管理や自社の経営状況の把握などの基本的な経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者が対象。

金融機関への返済条件等の変更の必要がないうちに経営の改善を支援します。

補助率 経営改善計画に関する費用のうち2/3の補助を受けられる。 早期経営改善計画に関する費用のうち2/3の補助を受けられる。
補助金上限額 300万円 15万円

 

 

認定支援機関のサポートを受けるまでの流れ

認定支援機関のサポートを受けるまでの流れは以下のとおりです。

 

STEP1.認定支援機関の検索・選定

まずは、自社の経営上の課題について、相談する認定支援機関を検索・選定します。

認定支援機関(金融機関を除く)は、認定支援機関検索システムで検索できます。

「認定支援機関検索システム」はこちら

【検索条件】で、地域・キーワード・認定支援機関種別など自社に合った機関を探します。

 

 

STEP2.認定支援機関に相談する

相談先が見つかったら、自社の経営における課題を相談をしサポートを受けていきましょう。

相談例

経営状況の把握

(財務分析・経営課題の抽出)

長期借入金の影響分や人口データからの売上推計など
事業計画作成

(計画策定に向けた支援・助言)

強みを活かした戦略立案支援や財務の安定化に係るアドバイスなど
事業計画実行

(事業の実施に必要な支援・助言)

月次決算書・計算書類の作成指導や金融機関への経営状況の説明補助など

 

STEP3.事業計画の実現

認定支援機関のサポートを受けることで、以下のような経営課題が解決します。

  • 売上拡大のための戦略策定について支援を受けたら、新規顧客獲得につながり、売上げが伸びた!
  • 人手不足に悩んでいたところ、設備投資の補助金活用についてアドバイスを受け、新規採用せずに生産性向上を図れた! など

 

 

STEP4.モニタリング・フォローアップ

事業計画の実行・実現した後も、希望であれば巡回監査の実施・改善策の提案などのサポートを受けることができます。

 

 

認定支援機関を選ぶ際のポイントと注意点

 

認定支援機関は、機関ごとに専門分野が異なります。

例えば、

  • 会計や税務に関する相談 → 税理士、税理士法人
  • 人手不足の解消など → 商工会、経営コンサル、中小企業診断士

上記のように、認定支援機関に相談する際は、事業内容や解決したい経営課題に合った専門家を選ぶことが大切です。

また、注意点として、中小企業庁は認定支援機関による不適切な行為の防止についての注意喚起を行っています。その注意喚起の中で、不適切な行為の例として以下のような事例を挙げています。

 

<不適切な行為の例>

◯補助金申請に関与する際に、作業等にかかる費用等と乖離した成功報酬等の費用を中小企業・小規模事業者等に請求すること

◯認定支援機関であることを示しながら、補助金申請代行等のPRや営業活動を行うこと

◯支援業務の実施に際して、金額・条件等の不透明な契約を締結すること

◯支援業務の実施に際して、中小企業・小規模事業者等や関係機関等に対して強引な働きかけを行うこと

認定支援機関を選ぶ際には、上記の注意事項にあるように悪質な業者も一部存在していますので、慎重に選んでいきましょう。

 

 

【まとめ】認定支援機関とは?

認定支援機関(認定経営革新等支援機関)とは、中小企業・小規模事業者の経営課題を解決するためのサポートを行う専門家です。

経営上の課題を抱えている事業者は、認定支援機関に相談することで課題解決につながるかもしれません。

また、補助金の申請支援や、税制などの優遇措置関連においても役割を担っています。

今後も安定した経営を続けていくために、ぜひ認定支援機関の活用を検討してみることをおすすめします。

 

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