2021/11/23
2023/02/06
建設業のものづくり補助金について解説
目次
建設業のものづくり補助金を活用について
ものづくり補助金は、中小企業が経営革新を図るために投資する設備等に活用できる補助金で、新製品の試作品の開発や、生産ラインの新規導入、新たなサービスの取り組みやこれらの導入に必要な専門家への相談、人材の確保などにかかる費用の一部が補助対象です。
補助金額は、基本的に1,000万円までを上限とし、補助率は1/2~3/4です。
建設業を営む事業者の方でも新たな設備投資や生産性向上を目的に、ものづくり補助金の申請を検討している方も少なくないでしょう。
ここでは建設業の方がものづくり補助金を活用する際のポイントについてみていきます。
建設業はものづくり補助金の応募対象か?
建設業を営む事業者も補助対象となります。
具体的には、産業分類(中分類)において、「総合工事業」「職別工事業」「設備工事業」「技術サービス業」が対象となります。
対象となる中小企業者(組合関連以外)
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業等 | 3億円 | 300人 |
建設業でのものづくり補助金のメリットとは
ものづくり補助金の導入は、中小企業の革新的経営につながるものとされるわけですが、具体的に建設業の方が導入することでどのようなメリットがあるのか?
建設業においては、今までなかなか導入出来なかったIT分野への活用に取り組めるというというメリットがまず考えられます。たとえばドローンを導入することによって屋根や高階層の外壁など高所での点検作業でも足場が必要なく行えたり、作業のリスクを少なくできたりします。
また、非対面型のサービス導入により、今まで対面で行ってきた打ち合わせや現場確認を遠隔などで進めることができ、新型コロナウイルスの感染拡大などにも影響されにくい営業システムの導入なども検討することができるでしょう。
建設業界はデジタル化が進む中でも、手仕事が必要なアナログ世界であったことは否めません。もちろん職人が実際の現場でも、ものづくりに取り組むというスタイルは今後も変わらないことです。
しかし現場以外での効率化はまだまだ改善の余地があります。ものづくり補助金の導入は、建設業の革新的な経営への取り組みに非常に有意義な制度といえるのです。
どのような事業計画が採択されるのか?
これまでの採択事例を分析すると、IoTやITシステムを活用した計画が比較的多く採択されている印象です。
建設業でものづくり補助金を活用するには、どのような施策をすることで業務の効率化や生産性の向上・売上向上が図れるのか、ということが大事になってくると思います。そこで、建設業の方が活用しているものをいくつかご紹介していきたいと思います。
新製品開発
新製品を開発することで、建設工事の発展と売上向上の双方を達成することが可能となります。新製品の開発のポイントはあくまで「革新性」です。
例えば、過去に採択された事例で、寒冷地における強度と耐久性に優れた、独自セメント混和剤を開発することに成功したというものがあります。寒冷地において長年にわたる凍結と融解の繰り返しによって、コンクリートが徐々に劣化する現象(凍結融解)を防ぐ新しい混和剤というものです。その結果、建設工事においてより良い新製品が生まれ、かつそれを世界に向けて販売することができ、大幅な売上向上につながりました。
IT技術導入による生産性向上
これは例えば、建設工事においてドローンや3D測量設計ソフトを導入することで、生産性向上を図るというものがあります。あとは、溶接ロボットシステムを導入することによって、建築構造体加工の高品質、短納期計画というものも採択されていました。
最近採択されたテーマ
いずれもICTシステムの活用によって生産性向上を図る計画となっています。
・国交省i-Constructionを実践!当社だけでなく建設産業全体の効率化推進!
・建設機械のリアルタイム自動制御化による土木工事の革新的改善
・三次元測量データによる、建設現場のICT施工技術の全面的活用
・ICT測量機導入による未開地における革新的短工期土木工事事業
・情報化施工対応で測量技術の高度化を図り高度施工技術、複合工事の導入と生産性向上
・ICT施工の構築により、人手の足らない新市場(農水産・建築)を開拓
・測量作業へのICT機器導入による生産性向上と災害復旧への貢献
・GNSSによる位置情報システムを活用した測量技術の高度化事業
・最新鋭測量機器導入による測量の省人化、トータル時間の削減
まとめ
ものづくり補助金は交付金の上限も高額で補助率も高い制度です。何らかの新しい取り組みを導入したいと考えている建設業の事業者の方にとっては、思い切った設備投資を行うことも可能です。
しかし、採択率は決して高いとはいえない制度でもあるため、申請時の事業計画などの書類作成の完成度が大きく影響してきます。
公開内容をしっかり理解して、革新的な運営のためにぜひ積極的に検討してみてください。