2021/11/15
2023/01/18
製造業のものづくり補助金について解説
ものづくり補助金は、中小企業者等が行う革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援することを目的としており、幅広い事業者が申請可能な補助金です。
そうは言うものの、もともとは製造業向けの補助金から拡大してきたということもあり、製造業からの申請が多いのも事実です。
当記事では、製造業の方がものづくり補助金を活用する方法について解説していきます。
目次
ものづくり補助金の補助金額と対象者
補助金額と補助率
ものづくり補助金は、通常枠で上限1,250万円、補助率2分の1(必要経費総額の半分が補助対象)となりますが、小規模事業者であれば補助率は3分の2に拡大されます。
通常枠 | グローバル市場開拓枠 | |
補助額(上限) | 1,250万円 | 3,000万円 |
補助率 | 2分の1
(小規模事業者は3分の2) |
2分の1
(小規模事業者は3分の2) |
対象者
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業等 | 3億円 | 300人 |
ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金の近年の採択率は50~60%と程度となっています。申請者のうち、約半数の事業者の方が採択されています。
締切回 | 応募者数 | 採択者数 | 採択率 |
7次 | 5,507 | 2,768 | 50.3% |
8次 | 4,653 | 2,780 | 59.7% |
9次 | 3,613 | 2,247 | 62.2% |
10次 | 4,294 | 2,612 | 60.8% |
11次 | 4,668 | 2,786 | 59.7% |
12次 | 3,256 | 1,907 | 58.6% |
申請者のうち半数以上が製造業者
申請者の中で、最も多い業種は製造業です。
ものづくり補助金総合サイトには「補助金の申請者の業種」が掲載されています。このデータを見ると、製造業の申請者数が圧倒的に多いのが一目瞭然です。

また、採択率に注目してみると「製造業69.6%」、「学術研究・専門技術・サービス業63.0%」、「建設業58.8%」の順で採択率が高くなっています。
製造業の採択率が高い理由
これには大きく2つの要因があります。
賃上げ加点を狙いやすい業種である
賃上げ加点は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にすれば対象となります。数多くの製造業が、この賃上げ加点を取得しているため、採択率が高くなる理由となっています。
一方で飲食業や小売業の事業者の方は、なかなかこのレベルの最低賃金を引き上げていくのは難しい、ということでこの加点を得られない方が多くいます。
事業計画をイメージしやすい
ものづくり補助金の採択率を高めるためのカギは事業計画書の完成度にあります。
そもそも「ものづくり補助金」というだけあって、製造業の申請者を想定したような審査項目となっているので、製造業の方は事業計画書を書きやすいということもあると考えています。また製造業における設備投資は比較的高額で、かつ機能や効果がパンフレットでまとめられている設備が多いので、審査する側も判断しやすい、という面もあります。
逆を言えば、システム構築など目に見えないものの計画書作成は難しいため、その機能や効果を審査員にわかりやすく説明することは、申請者の方にとっては頭を悩ませる種の一つかもしれません。
同時に活用したい税制優遇制度
これは製造業に限らず他の業種にも言えることですが、ものづくり補助金を活用して新たな生産設備を導入する場合、以下の制度を併用することで効果を高められる可能性があります。
中小企業施策 | 施策を活用する効果 |
経営力向上計画 | 1.法人税控除10%または即時償却
2.その他、金融支援など |
先端設備導入計画 | 1.固定資産税3年間全額控除
2.その他、金融支援など |
*それぞれ設備導入前に施策の認定を得る必要があります。
経営力向上計画や先端設備導入計画は、導入した設備や利益に対する課税を軽減する効果が期待できます。
まとめ
ものづくり補助金において、製造業者の採択率は高いですが、それは事業計画書が十分に完成されていることを前提としたものであるといえます。
ものづくり補助金は額も大きく人気な補助金である一方で、申請にあたっての事務作業は多岐にわたります。まずは、公募要領を熟読し、加点項目の取得や書類作成上のミスがないよう余裕を持った申請に取り組みましょう。