2022/9/22
2022/12/06
経営力向上計画とは?メリットや申請までの流れを解説
目次
経営力向上計画とは
経営力向上計画とは、中小企業の経営力向上を目的として、平成28年7月にスタートした国の制度です。
中小企業等が、人材育成・財務管理・設備投資・コスト管理など、自社の経営力を向上するための事業計画を立て、国から認定をもらいます。認定された事業者は、税制や金融のさまざまな支援を受けることができます。
経営力向上計画の申請対象者
経営力向上計画の認定を受けられる対象者は下記のとおりです。
申請可能事業者 | ・会社
・個人事業主 ・医療法人等 ・社会福祉法人 ・特定非営利活動法人 |
従業員数 | 2,000人以下 |
※このほか企業組合、協業組合、事業共同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会、その他政令で定める組合も対象となります。
経営力向上計画の認定を受けた場合のメリット
メリット1:税制優遇措置が受けられる
青色申告書を提出する中小企業者等が、令和5年3月31日までの期間で新しく設備を購入する際、規定の事業・設備に当てはまれば、即時償却または税額控除を受けることが可能です。
・即時償却
設備投資を行った初年度に「すべて」経費として計上することができます。
・税額控除
取得価額の10%相当額の税額控除を受けることができます。(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)
どちらがご自身にとってメリットが大きいか気になる方は、税理士にご相談ください。
メリット2:金融支援が受けられる
経営力向上計画の認定を受けた事業者は、日本政策金融公庫や、民間金融機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援などを受けることができます。
さまざまな種類の支援がありますが、その中で代表的なものは、日本政策金融公庫による低利融資です。経営力向上計画の認定を受けることで、政策公庫が掲げる基準金利から0.9%引き下げの条件で借入を行うことができます。
メリット3:法的支援が受けられる
経営力向上計画の法的支援は、以下の3つの特例があり、主に事業承継等を行う際に利用できます。
1.業法上の許認可承継の特例
以下の7つの許認可事業は、事業継承の際に当該許認可に係る地位をそのまま引き継ぐことができます。
①旅館業、②建設業、③火薬類製造業、④火薬類販売業、⑤一般旅客自動車運送業、⑥一般貨物自動車運送業、⑦一般ガス導管業
2.組合発起人数の特例
企業組合又は協業組合を設立する場合は、通常発起人が最低でも4人以上必要ですが、特例により最低3人から組合を組成できます。
3.事業譲渡時の免責的責務引受
事業譲渡の際より簡略な手続きにより債務を移転することができます。
経営力向上計画の認定を受けるための流れ
STEP1.受ける支援措置を選択する
税制措置・金融支援・法的支援の中から1つ選びます。
【税制措置を受けたい場合】
- 適用対象者の要件(資本金1億円以下 など)や手続き等を確認する
- 設備投資について税制措置を受けるた めには、計画申請時に工業会証明書や経産局確認書等が必要
- 事業承継等に伴う準備金の積立や登録 免許税・不動産取得税の軽減については、対象となる事業承継等の条 件や手続きについて確認する
【法的支援を受けたい場合】
- 承継が認められる許認可の種類その他の特例の条件や、必要な手続きを確認する
※ 許認可承継の特例を受ける場合、認定までの間に相当程度長い期間を要する場合があります。
【金融支援を受けたい場合】
- 適用対象者の要件や手続き等を確認する
- 金融支援を受けるためには、計画申請前に関係機関にご相談頂く必要がある
STEP2.経営力向上計画を作成する
中小企業庁ホームページの申請書様式類より、「経営力向上計画に係る認定申請書」をダウンロードし、作成します。
計画書には、事業分野を記載する必要があります。まずは、自社の事業分野を政府のサイトにある「日本標準産業分類」で確認します。
認定を受けるためには、事業分野ごとに大臣が策定した指針を踏まえて計画を作ります(策定されていない事業分野は「基本方針」)。どのように経営力向上に取り組めばいいか考えやすくなっています。
STEP3.経営力向上計画の申請・認定
経営力向上計画の申請は、経営力向上計画申請プラットフォームから電子申請します。
経営力向上計画の登録に際して、事前に直近の決算書に加え、税制措置・金融措置・法的支援それぞれ申請に必要な書類があるため、「経営力向上計画 申請書作成の手引き」を確認しましょう。経営力向上計画を電子申請するためには、「gBizID」のアカウントを取得する必要があります。この「gBizID」のアカウントは、取得するまで2週間ほどかかります。必ず余裕を持った申請をしましょう。
STEP4.経営力向上計画の開始、取組みの実行
税制措置・金融支援・法的支援を受けながら、計画書に沿って経営力向上の取り組みを実行します。もし途中で経営力向上計画の変更がある場合は、変更申請が別途必要です。
まとめ
いかがでしたか。経営力向上計画の認定を受けるとさまざまなメリットを受けることができます。しかし認定要件を正しく理解したうえでの計画書の作成が必要であり、自社ですべての書類準備や申請をするのは大変です。
自社で経営力向上計画を作成するのが難しい場合は、認定経営革新等支援機関のサポートを利用しましょう。認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。公認会計士や税理士といった経営の専門家が所属しており、相談や計画書の策定、その後の支援などトータルでサポートしてくれます。
NS&パートナーズ会計事務所では経営力向上計画の策定サポートを行っています。実現可能性の高い事業計画の策定や手続き・補助金申請の支援を提供しています。まずはお気軽にご相談ください。