2022/10/7

2023/08/31

事業再構築補助金とは?補助額や対象者をわかりやすく解説

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

 

事業再構築補助金は、新しい事業展開を検討する中小・中堅企業向けの補助制度として注目されている補助金の1つです。

当記事では、そんな人気の高い事業再構築補助金について解説していきます。

 

事業再構築補助金とは

 

事業再構築補助金とは、コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けた、中小企業、中堅企業、個人事業主等が、新商品・新サービスの開発や、業態・業種の転換など、思い切った事業再構築のチャレンジを国が支援する補助金です。

事業再構築を通じて事業規模を拡大し、中小企業者等から中堅・大企業等に成長する企業や、中堅企業等が海外展開を強化し市場の新規開拓を行う企業は、より一層に支援されます。 

 

事業再構築補助金の申請要件

 

事業再構築補助金に応募申請するためには、以下の必須申請要件をクリアする必要があります。

 

 ① 事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けること

 

事業再構築指針とは、事業再構築補助金の対象となる「事業再構築」がどのようなものか定義したものになります。 ▸事業再構築指針の手引き

【事業再構築の定義】

事業再構築とは、「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」の5つを指し、事業再構築補助金に申請するには、この5つのいずれかに該当する事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関から確認を受けることが必要です。

【認定経営革新等支援機関とは】

認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。

 

 

② 付加価値額を向上させること

補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要です。

 

◎上記の必須要件に加え、それぞれの申請枠に応じて追加で要件を満たす必要があります。

 

事業再構築補助金の申請対象者

 

事業再構築補助金の申請対象者は、中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等です。

 

【中小企業の範囲】

資本金又は従業員数が下表の数字以下であれば対象となります。

業種 資本金 従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業 5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業 3億円 900人
ソフトウェア業・情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

 

【中堅企業の範囲】

中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社

 

 

事業再構築補助金の補助額、補助率

 

従業員規模に応じ、補助上限額が設定されています。

 

成長枠

項目 要件
概要 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 20人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円 

【従業員数 21~50人】  100 万円 ~ 4,000 万円 

【従業員数 51~100人】 100 万円 ~ 5,000 万円 

【従業員数 101人以上】  100 万円 ~ 7,000 万円 

補助率 中小企業者等  1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3) 

中堅企業等   1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

(※)事業終了時点で、事業場内最低賃金+45 円、給与支給総額+6%を達成すること。

 

グリーン成長枠

項目 要件
概要 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援してくれます。 
補助金額 エントリー

・中小企業者等

【従業員数 20人以下】 100 万円 ~ 4,000 万円 

【従業員数 21~50人】  100 万円 ~ 6,000 万円 

【従業員数 51~100人】 100 万円 ~ 8,000 万円 

・中堅企業者等 100万円 ~ 1 億円

スタンダード

・中小企業者等 100 万円 ~ 1 億円 

・中堅企業者等 100 万円 ~ 1.5 億円

補助率 中小企業者等  1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3) 

中堅企業等   1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

補助事業

実施期間

交付決定日~14か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

(※)事業終了時点で、事業場内最低賃金+45 円、給与支給総額+6%を達成すること。

 

【卒業促進枠】

成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者は、上乗せ枠である卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠に追加で申請することが可能です。

項目 要件
概要 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せを支援してくれます。
補助金額 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる。
補助率 中小企業者等  1/2 

中堅企業等   1/3

補助事業

実施期間

交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
補助対象経費 成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。 

※卒業促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、卒業促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。 

※卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠の申請は、成長枠またはグリーン成長枠の申請と同時に行わなければなりません。また、卒業促進枠および大規模賃金引上促進枠の両方に追加申請することはできません。 

 

大規模賃金引上促進枠

成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者は、上乗せ枠である卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠に追加で申請することが可能です。

項目 要件
概要 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せを支援してくれます。 
補助金額 100 万円 ~ 3,000 万円
補助率 中小企業者等  1/2 

中堅企業等   1/3

補助事業

実施期間

交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
補助対象経費 成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。 

※大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、大規模賃金引上促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。 

※卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠の申請は、成長枠またはグリーン成長枠の申請と同時に行わなければなりません。また、卒業促進枠および大規模賃金引上促進枠の両方に追加申請することはできません。  

 

産業構造転換枠

項目 要件
概要 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 20人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円 

【従業員数 21~50人】  100 万円 ~ 4,000 万円 

【従業員数 51~100人】 100 万円 ~ 5,000 万円 

【従業員数 101人以上】  100 万円 ~ 7,000 万円 

※廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000 万円上乗せ

補助率 中小企業者等  2/3

中堅企業等      1/2

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費

 

サプライチェーン強靭化枠

項目 要件
概要 海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中堅・中小企業者等に対する支援をしてくれます。
補助金額 1,000 万円 ~ 5億円以内 

※建物費がない場合は3億円以内

補助率 中小企業者等 1/2 

中堅企業等 1/3

補助事業

実施期間

交付決定日~28か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から30か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費

 

最低賃金枠

項目 要件
概要 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 5 人以下】   100 万円 ~ 500 万円 

【従業員数6~20 人】   100 万円 ~ 1,000 万円 

【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円

補助率 中小企業者等     3/4 

中堅企業等         2/3

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

 

物価高騰対策・回復再生応援枠

項目 要件

概要

業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 5 人以下】  100 万円 ~ 1,000 万円 

【従業員数6~20 人】   100 万円 ~ 1,500 万円 

【従業員数 21~50 人】  100 万円 ~ 2,000 万円 

【従業員 51 人~】   100 万円 ~ 3,000 万円

補助率 ・中小企業者等  2/3(※1) 

・中堅企業等      1/2(※2) 

(※1)従業員数 5 人以下の場合400 万円、従業員数6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合800 万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4 

(※2)従業員数 5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合 600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3 

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

 

 

事業再構築補助金の補助対象経費

 

事業再構築補助金の対象経費は以下のとおりです。

製造業が対象である「サプライチェーン強靭化枠」の補助対象経費は、

建物費、機械装置・システム構築費のみとなります。

 

 

【建物費】

建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復等

※新築に関しては、補助事業の実施に必要不可欠であること、代替手段が存在しない場合に限り認められ、「新築の必要性に関する説明書」を提出する必要があります。

 

【機械装置・システム構築費】

設備、専用ソフトの購入やリース等

 

【技術導入費】

本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

 

【専門家経費】

本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費  

※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。

 

【運搬費】

運搬料、宅配・郵送料等に要する経費

 

【クラウドサービス利用費】

クラウドサービスの利用に関する経費

 

【外注費】

本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費

 

【知的財産権等関連経費】

新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費

  

【広告宣伝費・販売促進費】

本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費

 

【研修費】

本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費

 

【廃業費】

※産業構造転換枠に申請し、既存事業の廃止を行う場合のみ

廃止手続費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用等

 

 

事業再構築補助金のスケジュール

 

第11回の公募スケジュールは以下のとおりです。

公募開始:令和5年8月10日(木)

申請受付:令和5年9月上旬から中旬(予定) 

応募締切:令和5年10月6日(金)18:00

 

事業再構築補助金の申請に向けた事前準備

 

事業再構築補助金の申請に必要な準備を終えるには、最低でも1ヵ月かかるといわれています。

書類の提出には電子申請専用のIDが必要など、前もって行っておいたほうがよい事前準備を、大きく分けて4つ、解説していきます。

① 申請要件の確認

② 電子申請の準備

③ 事業計画策定の準備

④ 必要書類の準備

 

事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:①申請要件の確認

事業再構築補助金の公募要領には、申請要件や対象者、スケジュールなど、申請にあたり必要な情報が書かれています。

まずは、公募要領をしっかりと読み込み、事業再構築補助金の申請要件を確認し、概要を理解することが重要です。

 

事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:②電子申請の準備

事業再構築補助金の申請は、すべて「jGrants(Jグランツ)」という電子申請システムで行います。

この「jGrants」を利用するには、GビズIDプライムの取得が必要です。

GビズIDプライムとは、1つのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービス。

GビズIDプライムの取得は、発行までに時間がかかるため、なるべく早めに取得手続きをしておきましょう。

▸GビズID登録はこちら

 

事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:③事業計画策定の準備

申請には事業計画書が必須となり、採択されるためには、しっかりとした事業計画書を作成する必要があります。

事業再構築補助金では、経済産業省の「事業再構築指針」との整合性と、認定支援機関が認めた事業計画であることが必要となります。

 

事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:④必要書類の準備

事業再構築補助金では、「事業計画書」の他にも、決算書や確定申告書などの財務状況を把握できる書類も必要です。

 

【事業再構築補助金の申請で提出する主な必要書類】

  • 事業計画書
  • 認定支援機関による確認書
  • 決算書 
  • ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
  • 収益事業を行っていることを説明する書類
  • 従業員数を示す書類

 

その他、申請枠によって追加書類・加点書類があります。

 

【まとめ】事業再構築補助金とは?

以上、ものづくり補助金について解説させていただきました。

事業再構築補助金は、補助金額が高く、コロナ渦をきっかけに新たな事業へチャレンジしていく事業者様にとって、心強い国の支援制度です。

補助金額が高いがゆえに、必要書類の準備や申請手続きは簡単なものではありませんので、申請を検討されている事業者様は、スケジュール管理等をしっかりと行い、万全の状態で申請していきましょう。

自社で準備するのが難しい場合は、補助金の申請サポートを利用することをおすすめいたします。

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