2022/10/7
2022/12/06
事業再構築補助金とは?補助額や対象者をわかりやすく解説
目次
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けた、中小企業、中堅企業、個人事業主等が、新商品・新サービスの開発や、業態・業種の転換など、思い切った事業再構築のチャレンジを、国が支援する補助金です。
予算額として、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円、令和4年度予備費予算で1,000億円が計上されており、新しい事業展開を検討する中小・中堅企業向けの補助制度として注目されている補助金の1つです。
事業再構築補助金の申請要件とは
事業再構築補助金に応募申請するためには、以下の必須申請要件をクリアする必要があります。
①売上が減っている
2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020年1月〜3月)の同3か月と比較して10%以上減少していること。
※売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。
②事業再構築に取り組む
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である。
- 新分野展開・・新たな製品等で新たな市場に進出する。
- 事業転換・・・主な「事業」を転換する。
- 業種転換・・・主な「業種」を転換する。
- 業態転換・・・製造、販売方法等を転換する。
- 事業再編・・・合併、事業譲渡、株式交換などの事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかをおこなう。
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業再構築指針に沿った事業計画を「認定経営革新等支援機関」と共同で策定すること(補助金額が3,000万円を超える場合は認定支援機関および金融機関と策定することが必須)
【認定経営革新等支援機関とは】
認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。
④付加価値要件
補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、
又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する
※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。
事業再構築補助金の申請対象者
事業再構築補助金の申請対象者は、中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等です。
【中小企業の範囲】
資本金又は従業員数が下表の数字以下であること。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業その他 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
【中堅企業の範囲】
中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社
事業再構築補助金の補助額、補助率
従業員規模に応じ、補助上限額が設定されています。
通常枠
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援してくれます。
従業員 | 補助額 | 補助率 |
20人以下 | 100万円~2,000万円 | 中小企業:2/3
(6,000万円超は1/2) 中堅企業:1/2 (4,000万円超は1/3) |
21~50人 | 100万円~4,000万円 | |
51人~100人 | 100万円~6,000万円 | |
101人以上 | 100万円~8,000万円 |
大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①および②を満たすことが必要です。
① 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
② 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3〜5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
101人以上 | 8,000万円超~1億円 | 中小企業:2/3
(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2 (4,000万円超は1/3) |
回復・再生応援枠
新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①または②のどちらかを満たすこと
① 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
② 中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | 中小企業:3/4
中堅企業:2/3 |
6~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
最低賃金枠
最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①及び②を満たすことが必要です。
①2020年10 月から2021年6 月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
②2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること
※もしくは、付加価値額が15%以上減少している
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | 中小企業:3/4
中堅企業:2/3 |
6~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
グリーン成長枠
研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
(補助額3,000 万円超は金融機関も必須)
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
③グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるもの 該当し、その取組に該当する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
中小/中堅 | 補助金額 | 補助率 |
中小企業 | 100万円~1億円 | 1/2 |
中堅企業 | 100万円~1.5億円 | 1/3 |
緊急対策枠
原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の要件を満たすことが必要です。
①足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6 か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。また、コロナによって影響を受けていること。
従業員 | 補助額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~1,000万円 | 中小企業:3/4(※1)
中堅企業:2/3(※2) |
6~20人 | 100万円~2,000万円 | |
21~50人 | 100万円~3,000万円 | |
51人以上 | 100万円~4,000万円 |
(※1)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合
1,000万円を超える部分、 従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3
(※2)従業員5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合
1,000万円を超える部分、 従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2
事業再構築補助金の補助対象経費
- 建物費
・・・建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復等
- 機械装・システム構築費
設備、専用ソフトの購入やリース等
- クラウドサービス利用費
クラウドサービスの利用に関する経費
- 運搬費
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
- 技術導入費
本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
- 知的財産権等関連経費
新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
- 外注費
本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
- 専門家経費
本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。
- 広告宣伝費・販売促進費
本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
- 研修費
本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費
事業再構築補助金の活用事例
【業態転換】飲食業での活用例

【新分野展開】サービス業での活用例

【新分野展開】食品製造業での活用例
緊急対策枠での申請例

【その他の活用イメージ】

事業再構築補助金のスケジュール
第8回の公募スケジュールは以下のとおりです。
公募開始:令和4年10月3日(月)
応募締切:令和5年1月13日(金)18:00
事業再構築補助金の申請に向けた事前準備
事業再構築補助金の申請に必要な準備を終えるには、最低でも1ヵ月かかるといわれています。
書類の提出には電子申請専用のIDが必要など、前もって行っておいたほうがよい事前準備を、大きく分けて4つ、解説していきます。
①申請要件の確認
②電子申請の準備
③事業計画策定の準備
④必要書類の準備
事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:①申請要件の確認
事業再構築補助金の公募要領には、申請要件や対象者、スケジュールなど、申請にあたり必要な情報が書かれています。まずは、公募要領をしっかりと読み込み、事業再構築補助金の申請要件を確認し、概要を理解することが重要です。
事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:②電子申請の準備
事業再構築補助金の申請は、すべて「jGrants(Jグランツ)」という電子申請システムで行います。
この「jGrants」を利用するには、GビズIDプライムの取得が必要です。
GビズIDプライムとは、1つのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービス。
GビズIDプライムの取得は、発行までに時間がかかるため、なるべく早めに取得手続きをしておきましょう。
事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:③事業計画策定の準備
申請には事業計画書が必須となり、採択されるためには、しっかりとした事業計画書を作成する必要があります。事業再構築補助金では、経済産業省の「事業再構築指針」との整合性と、認定支援機関が認めた事業計画であることが必要となります。
事業再構築補助金の申請に向けた事前準備:④必要書類の準備
事業再構築補助金では、「事業計画書」の他にも、決算書や確定申告書などの財務状況を把握できる書類も必要です。
【事業再構築補助金の申請で提出する主な必要書類】
- 事業計画書
- 認定支援機関による確認書
- コロナ以前に比べて売上高(または付加価値額)が減少したことを示す書類
- 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、 製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)
- ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
このほかに補助枠に特化した書類・加点書類があります。
まとめ
いかがでしたか。事業再構築補助金は、補助金額が高く、コロナ渦をきっかけに新たな事業へチャレンジしていく事業者様にとって、心強い国の支援制度です。しかし、補助金額が高いがゆえに、必要書類の準備や申請手続きは簡単なものではありません。事業再構築補助金を検討されている事業者様は、スケジュール管理等をしっかりと行い、万全の状態で申請しましょう。自社で準備するのが難しい場合は、補助金の申請サポートを利用することをおすすめいたします。