2022/10/14

2023/08/31

事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスでも申請できるのか?

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

 

個人事業主やフリーランスの方で、事業再構築補助金を検討してる方もいらっしゃると思います。

今回の記事では、事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスは対象になるのか、申請要件や対象経費などをわかりやすく解説していきます。

 

事業再構築補助金とは

 

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、企業の思い切った事業再構築を支援するための補助金です。

新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業などが、事業再構築に挑戦する場合、その事業にかかった経費を補助してもらえます。

事業再構築を通じて事業規模を拡大し、中小企業者等から中堅・大企業等に成長する企業や、中堅企業等が海外展開を強化し市場の新規開拓を行う企業も支援されます。

 

事業再構築補助金の対象者

 

事業再構築補助金は個人事業主、フリーランスも対象です!

事業再構築補助金は、中小企業者や中堅企業が対象とありますが、個人事業主やフリーランスの方も対象となります。中小企業庁の『『事業再構築補助金の概要』では、“中小企業の範囲は、中小企業基本法と同様“ と書かれています。

<中小企業基本法の中小企業の定義>

中小企業基本法2条1項各号には、“会社及び個人“と明記されていることから、事業再構築補助金の対象者は、個人事業主・フリーランスが含まれることがわかります。ただし、以下の3つの要件を満たす必要があります。

1:主な申請要件を満たしている

2:従業員がいる

3:開業届を提出している

 

1:事業再構築補助金の主な申請要件

事業再構築補助金に応募申請するためには、以下の必須申請要件をクリアする必要があります。

 

1-1.事業再構築指針に沿った事業計画を作成する

事業再構築指針とは、事業再構築補助金の対象となる「事業再構築」がどのようなものか定義したものになります。 ▸事業再構築指針の手引き

  1. 事業再構築とは、「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」の5つを指し、事業再構築補助金に申請するには、この5つのいずれかに該当する事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関から確認を受けることが必要です。

 

 

1-2.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築指針に沿った事業計画を「認定経営革新等支援機関」と共同で策定すること(補助金額が3,000万円を超える場合は認定支援機関および金融機関と策定することが必須)

【認定経営革新等支援機関とは】

認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。

 

1-3.付加価値要件

補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加

又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。

 

 

2:事業再構築補助金の従業員数

個人事業主やフリーランスは資本金がないため、従業員数(常勤)が下表の数字以下であれば、要件を満たします。

 

3:開業届を提出している

個人事業主として法的に認められるには、開業届を税務署に提出していることが条件となります。

提出していなければ個人事業主を名乗ることはできず、対象者とはなりません。

 

 

事業再構築補助金の補助金額・補助率

 

事業再構築補助金の補助金額は、枠ごとに異なります。個人事業主やフリーランスの方は、“中小企業者等“に当てはまるため、各枠の中小企業の補助金額・補助率をみます。

成長枠

項目 要件
概要 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 20人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円 

【従業員数 21~50人】  100 万円 ~ 4,000 万円 

【従業員数 51~100人】 100 万円 ~ 5,000 万円 

【従業員数 101人以上】  100 万円 ~ 7,000 万円 

補助率 中小企業者等  1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3) 

中堅企業等   1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

(※)事業終了時点で、事業場内最低賃金+45 円、給与支給総額+6%を達成すること。

 

グリーン成長枠

項目 要件
概要 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援してくれます。 
補助金額 エントリー

・中小企業者等

【従業員数 20人以下】 100 万円 ~ 4,000 万円 

【従業員数 21~50人】  100 万円 ~ 6,000 万円 

【従業員数 51~100人】 100 万円 ~ 8,000 万円 

・中堅企業者等 100万円 ~ 1 億円

スタンダード

・中小企業者等 100 万円 ~ 1 億円 

・中堅企業者等 100 万円 ~ 1.5 億円

補助率 中小企業者等  1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3) 

中堅企業等   1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

補助事業

実施期間

交付決定日~14か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

(※)事業終了時点で、事業場内最低賃金+45 円、給与支給総額+6%を達成すること。

 

【卒業促進枠】

成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者は、上乗せ枠である卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠に追加で申請することが可能です。

項目 要件
概要 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せを支援してくれます。
補助金額 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる。
補助率 中小企業者等  1/2 

中堅企業等   1/3

補助事業

実施期間

交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
補助対象経費 成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。 

※卒業促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、卒業促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。 

※卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠の申請は、成長枠またはグリーン成長枠の申請と同時に行わなければなりません。また、卒業促進枠および大規模賃金引上促進枠の両方に追加申請することはできません。 

 

大規模賃金引上促進枠

成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者は、上乗せ枠である卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠に追加で申請することが可能です。

項目 要件
概要 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せを支援してくれます。 
補助金額 100 万円 ~ 3,000 万円
補助率 中小企業者等  1/2 

中堅企業等   1/3

補助事業

実施期間

交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
補助対象経費 成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。 

※大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、大規模賃金引上促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできません。 

※卒業促進枠または大規模賃金引上促進枠の申請は、成長枠またはグリーン成長枠の申請と同時に行わなければなりません。また、卒業促進枠および大規模賃金引上促進枠の両方に追加申請することはできません。  

 

産業構造転換枠

項目 要件
概要 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 20人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円 

【従業員数 21~50人】  100 万円 ~ 4,000 万円 

【従業員数 51~100人】 100 万円 ~ 5,000 万円 

【従業員数 101人以上】  100 万円 ~ 7,000 万円 

※廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000 万円上乗せ

補助率 中小企業者等  2/3

中堅企業等      1/2

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費

 

サプライチェーン強靭化枠

項目 要件
概要 海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中堅・中小企業者等に対する支援をしてくれます。
補助金額 1,000 万円 ~ 5億円以内 

※建物費がない場合は3億円以内

補助率 中小企業者等 1/2 

中堅企業等 1/3

補助事業

実施期間

交付決定日~28か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から30か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費

 

最低賃金枠

項目 要件
概要 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 5 人以下】   100 万円 ~ 500 万円 

【従業員数6~20 人】   100 万円 ~ 1,000 万円 

【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円

補助率 中小企業者等     3/4 

中堅企業等         2/3

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

 

物価高騰対策・回復再生応援枠

項目 要件

概要

業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
補助金額 【従業員数 5 人以下】  100 万円 ~ 1,000 万円 

【従業員数6~20 人】   100 万円 ~ 1,500 万円 

【従業員数 21~50 人】  100 万円 ~ 2,000 万円 

【従業員 51 人~】   100 万円 ~ 3,000 万円

補助率 ・中小企業者等  2/3(※1) 

・中堅企業等      1/2(※2) 

(※1)従業員数 5 人以下の場合400 万円、従業員数6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合800 万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4 

(※2)従業員数 5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合 600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3 

補助事業

実施期間

交付決定日~12か月以内

(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)

補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

 

事業再構築補助金の補助対象経費

 

事業再構築補助金では、次のような経費が補助対象経費となっています。

 

  • 建物費

建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場等

 

  • 機械装置・システム構築費

設備、専用ソフトの購入やリース等

 

  • クラウドサービス利用費

クラウドサービスの利用に関する経費

 

  • 運搬費

運搬料、宅配等に要する経費

 

  • 技術導入費

知的財産権等の導入に要する経費

 

  • 知的財産権等関連経費 

知的財産権等取得に関連する経費

 

  • 外注費・専門家経費 

製品開発に要する加工、設計等

※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。 

 

  • 広告宣伝費・販売促進費

広告作成、媒体掲載、展示会出展等

 

  • 研修費

教育訓練費、講座受講等

 

事業再構築補助金のスケジュール

 

第11回の公募スケジュールは以下のとおりです。

公募開始:令和5年8月10日(木)

申請受付:令和5年9月上旬から中旬(予定) 

応募締切:令和5年10月6日(金)18:00

 

【まとめ】個人事業主やフリーランスも事業再構築補助金の対象になる

 

事業再構築補助金は、個人事業主やフリーランスの方も対象となります。かつてないほどの規模で行われる超大型補助金制度で、うまく利用すればビジネスコストの軽減ができます。新型コロナウイルスなどの影響などで、これまでチャレンジ出来なかった企業にとっては大きなチャンスといえます。

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