2022/10/14

2022/12/06

事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスでも申請できるのか?

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

 

個人事業主やフリーランスの方で、事業再構築補助金を検討してる方もいらっしゃると思います。

今回の記事では、事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスは対象になるのか、申請要件や対象経費などをわかりやすく解説していきます。

 

事業再構築補助金とは

 

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、企業の思い切った事業再構築を支援するための補助金です。

新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業などが、事業再構築に挑戦する場合、その事業にかかった経費を補助してもらえます。補助対象となる経費の範囲は広く、さらに返済の必要がありません。予算規模も1兆円を超え、補助額も最大1億円であることから、超大型補助金ともいわれています。

 

事業再構築補助金の対象者

 

事業再構築補助金は個人事業主、フリーランスも対象です!

事業再構築補助金は、中小企業者や中堅企業が対象とありますが、個人事業主やフリーランスの方も対象となります。中小企業庁の『『事業再構築補助金の概要』では、“中小企業の範囲は、中小企業基本法と同様“ と書かれています。

<中小企業基本法の中小企業の定義>

中小企業基本法2条1項各号には、“会社及び個人“と明記されていることから、事業再構築補助金の対象者は、個人事業主・フリーランスが含まれることがわかります。ただし、以下の3つの要件を満たす必要があります。

①主な申請要件を満たしている

②従業員がいる

③開業届を提出している

 

①:事業再構築補助金の主な申請要件

事業再構築補助金に応募申請するためには、以下の必須申請要件をクリアする必要があります。

①売上が減っている 

2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020年1月〜3月)の同3か月と比較して10%以上減少していること。

※売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。 

 

②事業再構築に取り組む 

事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である。

▸事業再構築指針の手引き/経済産業省

  1. 新分野展開・・新たな製品等で新たな市場に進出する。
  2. 事業転換・・・主な「事業」を転換する。
  3. 業種転換・・・主な「業種」を転換する。
  4. 業態転換・・・製造、販売方法等を転換する。
  5. 事業再編・・・合併、事業譲渡、株式交換などの事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかをおこなう。

 

③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

 事業再構築指針に沿った事業計画を「認定経営革新等支援機関」と共同で策定すること(補助金額が3,000万円を超える場合は認定支援機関および金融機関と策定することが必須)

【認定経営革新等支援機関とは】

認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。

 

④付加価値要件

補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加

又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。

 

②:事業再構築補助金の従業員数

個人事業主やフリーランスは資本金がないため、従業員数(常勤)が下表の数字以下であれば、要件を満たします。

③:開業届を提出してある

個人事業主として法的に認められるには、開業届を税務署に提出していることが条件となります。

提出していなければ個人事業主を名乗ることはできず、対象者とはなりません。

 

事業再構築補助金の補助金額・補助率

 

事業再構築補助金の補助金額は、枠ごとに異なります。個人事業主やフリーランスの方は、“中小企業者等“に当てはまるため、各枠の中小企業の補助金額・補助率をみます。

【通常枠】

新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援してくれます。

従業員 補助額 補助率 
20人以下  100万円~2,000万円 中小企業:2/3

(6,000万円超は1/2)

 中堅企業:1/2

(4,000万円超は1/3)

21~50人 100万円~4,000万円
51人~100人  100万円~6,000万円
101人以上 100万円~8,000万円

 

【大規模賃金引上枠】

多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援してくれます。

従業員数 補助金額  補助率
101人以上 8,000万円超~1億円 中小企業:2/3

(6,000万円超は1/2)

 

中堅企業:1/2

(4,000万円超は1/3) 

 

【回復・再生応援枠】

新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援してくれます。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円  中小企業:3/4

中堅企業:2/3 

6~20人 100万円~1,000万円 
21人以上  100万円~1,500万円

 

【最低賃金枠】

最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援してくれます。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下  100万円~500万円  中小企業:3/4 

中堅企業:2/3

6~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

 

【グリーン成長枠】

研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援してくれます。

中小/中堅  補助金額 補助率
中小企業  100万円~1億円  1/2 
中堅企業  100万円~1.5億円  1/3

 

【緊急対策枠】

原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援してくれます。

従業員  補助額  補助率
5人以下 100万円~1,000万円 中小企業:3/4(※1) 

中堅企業:2/3(※2) 

6~20人 100万円~2,000万円
21~50人 100万円~3,000万円
51人以上 100万円~4,000万円

 

事業再構築補助金の補助対象経費

 

事業再構築補助金では、次のような経費が補助対象経費となっています。

 

  • 建物費

建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場等

 

  • 機械装置・システム構築費

設備、専用ソフトの購入やリース等

 

  • クラウドサービス利用費

クラウドサービスの利用に関する経費

 

  • 運搬費

運搬料、宅配等に要する経費

 

  • 技術導入費

知的財産権等の導入に要する経費

 

  • 知的財産権等関連経費 

知的財産権等取得に関連する経費

 

  • 外注費・専門家経費 

製品開発に要する加工、設計等

※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。 

 

  • 広告宣伝費・販売促進費

広告作成、媒体掲載、展示会出展等

 

  • 研修費

教育訓練費、講座受講等

 

事業再構築補助金のスケジュール

 

第8回の公募スケジュールは以下のとおりです。

公募開始:令和4年10月3日(月)

応募締切:令和5年1月13日(金)18:00

 

事業再構築補助金の採択事例

 

中小企業庁が公開している、実際の事業再構築補助金の採択事例をご紹介します。

  • <新分野展開> 宿泊業,飲食サービス業

飲食店経営から、高齢者配食事業へ。今後拡大が予測される高齢者配食市場へ参入しV字回復を目指す。

 

  • <事業再編・新分野展開> 飲料・たばこ・飼料製造業

完全無添加商品を小容量アルミ缶初充填ラインによる製造、健康志向者へSNS・HPを用いたマーケティングを行う。

 

  • <業態転換> 映像・音声・文字情報制作業

ドローン及び屋内外用VRカメラを活用した画期的な画像提供システムの構築を行う。非対面・非接触化等に寄与する新たな広報支援ツールの提供を行う。

 

  • <業態転換> その他生活関連サービス業

既存事業の食とイベント分野をIT・IOT導入により高生産性事業に再構築し、次世代型イベントのデファクトスタンダードをつくる。

 

  • <事業転換> 宿泊業

地域密着の強みを生かした中期滞在プランと、新型コロナウイルス対応の強化により短期個室プランを経営の柱とする。

 

  • <事業転換> 飲食料品卸業

新たに調理加工設備を新設して地元素材を使用した冷凍調理食品の製造から卸販売及び通信販売を行う。

 

  • <新分野展開> 宿泊業

首都圏企業等によるワーケーション滞在の新規獲得に特化したコワーキング機能付宿泊施設を開業し、法人との定額利用計画の獲得を目指す方法で新分野展開を行う。

 

まとめ

 

事業再構築補助金は、個人事業主やフリーランスの方も対象となります。かつてないほどの規模で行われる超大型補助金制度で、うまく利用すればビジネスコストの軽減ができます。新型コロナウイルスなどの影響などで、これまでチャレンジ出来なかった企業にとっては大きなチャンスといえます。

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