2021/12/20

2022/11/02

歯科医院のものづくり補助金について解説

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

歯科医院でものづくり補助金を活用するには?

 

歯科医院を経営されている方が新商品の開発や設備投資をしたいと考えたとき、資金繰りの手段の一つとして挙げられるのがものづくり補助金です。

では歯科医院を経営されている方がものづくり補助金を活用したいと考えている場合どのような点に注意すべきなのか?

今回はものづくり補助金を歯科医院で活用する方法についてみていきます。

 

ものづくり補助金での歯科医院は対象となる?

 

ものづくり補助金という名称からすると、歯科医院は対象外で製造業しか受けられないのではないか?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

対象はすべての業種となっているので新しいサービスや試作品の開発、生産性の向上等に取り組むのであれば、歯科医院であっても補助金の対象になります。

ただし、あくまで目的は中小企業や小規模事業者の支援なので、対象となる企業は当然に「中小企業・小規模事業者」です。大企業は含まれません。

 

この中小企業・小規模事業者とは、中小企業基本法によって以下のように定義されています。

中小企業の定義

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業、建設業、運輸業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する

従業員の数が300人以下の会社及び個人

卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する

従業員の数が100人以下の会社及び個人

旅館業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する

従業員の数が200人以下の会社及び個人

小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する

従業員の数が50人以下の会社及び個人

その他サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する

従業員の数が100人以下の会社及び個人

 

小規模事業者の定義

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 従業員20人以下
商業・サービス業 従業員5人以下

会社の規模によっては対象外となりますが、通常の歯科医院を経営されている方であればまず該当すると思っておいてよいでしょう。

 

ものづくり補助金の対象となる経費は?

 

上記の定義に該当する歯科医院でさえあれば、設備投資や革新的サービスの開発等に使ったどのような経費でも、ものづくり補助金の補助対象になりうるかというと、そういうわけではありません。

ものづくり補助金の対象となる経費は以下のように定められており、これ以外は対象となりませんので注意が必要です。

  • 機械装置費

機械装置や専用ソフトウェア等の制作、購入、借用

  • 技術導入費

事業遂行のために必要な知的財産権等の導入

  • 専門家経費

事業遂行のために招聘される専門家に支払われる謝礼や旅費

  • 運搬費

運搬料、郵送費等

  • クラウド利用費

クラウドコンピューティング利用

歯科医院で設備投資に使った費用すべてについて補助金を受けられるわけではなく、対象となる費用には制限があるので注意が必要です。

 

歯科医院におけるおすすめの設備投資

 

例えば、歯科医院における設備投資でものづくり補助金が受けられるのは、以下のようなものが考えられます。

  • CT装置
  • インビザライン用口腔内スキャナ
  • セレックシステム
  • 光学スキャナ
  • CTスキャン
  • パノラマレントゲン
  • インプラントシステム

この中でも特によく申請される設備はCTやCAD/CAMです。

従来は総合病院に頼らざるを得なかったCTの撮影を歯科医院で行えるようにすることで患者様の接触機会削減に貢献しつつ地域医療の発展に貢献する取り組みなどを強みに、実際に今まで多くのケースが採択されています。

過去の歯科医院(技工所を含む)の採択件数

2015年 175件
2016年 107件
2017年 85件
2018年 231件

 

 

歯科医院がものづくり補助金の採択を受けるには?

 

最重要項目は革新性

歯科医院に限らずものづくり補助金申請を成功させるために最も重要となるのが、補助金を申請して実現する事業の革新性です。

CAD/CAMなどを導入する場合でも、単に効率化が図れるようになるだけの取り組みでは採択されることは難しいです。

医院や先生の強み(所属学会での知見や研究の実績など)と導入する設備の機能を組み合わせることで、今まで地域の歯科医院では提供することが難しかった付加価値を提供できるようになるなど、設備導入によってその事業者だからこそ生み出せる革新的な価値をアピールすることが必要になります。

採択不採択は事業計画書の内容次第でほとんど決まりますが、そのほかにも加点項目を取得することで、採択される可能性は高まります。採択を確実にするためにはぜひ逃したくないポイントです。

 

歯科医院のものづくり補助金での注意点

 

医療法人は補助対象外

医療法人は財団法人、社団法人、社会福祉法人などと並んで補助対象から除外されています。

 

個人事業主の医療法人化

個人事業主として補助金が採択された後に医療法人化してしまうと、医療法人になった時点で補助対象から外れてしまうため、その時点での「補助金によって導入した設備の残存簿価×補助率」にあたる額を返却しなければなりません。

 

まとめ

 

ものづくり補助金は額も大きく便利な補助金である一方で、申請にあたって注意すべき点が多岐に渡ります。ものづくり補助金に関して悩みや相談事がある方は、ものづくり補助金の申請実績のある専門家に相談してみるといいでしょう。

 

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