2022/12/9
2022/12/09
経営力向上計画の補助金との関係性と加点項目について
補助金の申請を検討している方で、公募要領に目を通していると、「経営力向上計画」という言葉を見ることがあるかと思います。
当記事では、経営力向上計画とはどういったものなのか、経営力向上計画と補助金はどのような関係性があるかなどを、詳しく解説していきます。
目次
経営力向上計画とは
経営力向上計画とは、「中小企業が人材育成やコスト管理、設備投資などを行い、自社の経営力を高めるために策定し実施する計画」のことです。
平成28年7月に施行された、中小企業等経営強化法の支援のひとつです。策定した事業計画を中小企業庁に申請し、認定を受けた事業者は、税制の優遇や金融の支援等を受けることができます。また、経営革新等支援機関(認定支援機関)から申請のサポートを受けることができます。
事業計画の策定や申請手続きにおいて、どのように行えばいいか分からない事業者でも、安心して手続きを行うことができます。
【経営力向上計画の全体像】

経営力向上計画の認定取得事業者は約147,000件
中小企業庁ポータルサイトによると、経営力向上計画は、令和4年9月30日時点で146,742件の認定が行われています。
利用者数が多いのは、申請の手軽さやメリットの多さにあります。
これまで多くの中小企業・小規模事業者に対し、中小企業強化税制(即時償却等)による税制の支援や、資金繰り等の支援を実施しています。
認定を受けていると補助金の審査で加点になる
では、経営力向上計画と補助金はどのような関係性を持っているのでしょうか。
それは、認定を受けていると、一部の補助金の審査で加点項目となり、採択の可能性を上げることができるということです。そもそも補助金は、申請したら必ず採択されるわけではありません。
基本的に審査は加点式となっており、【基本項目】+【加点項目】によって点数が決められ、合格基準を超えた事業者だけが採択されます。
- 基本項目・・・最低限押さえておくべきポイント
- 加点項目・・・要件を満たせば、評価に関係なく必ず加点されるもの
採択されるためには、高い点数が必要になります。1点や2点で合否が分かれる可能性がありますので、該当する加点項目があればぜひ申請したいものですよね。
ものづくり補助金総合サイトでは、加点項目の取得数と採択率の関係性を示したデータが公表されています。

こちらのデータを見ると、加点項目1個を申請した事業者の採択率は48.1%に対し、加点項目4個を提出した事業者は、採択率がなんと81,7%という結果になっています。
加点項目が1個、2個増えるごとに、採択率も上がっているのが読み取れます。
これから補助金の申請を考えている方は、補助金の審査で有利になるためにも、経営力向上計画の策定も同時に進めていくと良いでしょう。
経営力向上計画の対象者
経営力向上計画の認定を受けられる対象者は下記のとおりです。
申請可能事業者 |
|
従業員数 | 2,000人以下 |
※このほか企業組合、協業組合、事業共同組合、協同組合連合会、事業協同小組合、商工組合、その他政令で定める組合も対象です。
経営力向上計画のメリットとは?
メリット1:税制優遇措置が受けられる
青色申告書を提出する中小企業者等が、令和5年3月31日までの期間で新しく設備を購入する際、規定の事業・設備に当てはまれば、即時償却または税額控除を受けることが可能となります。
【即時償却】
設備投資を行った初年度に「すべて」経費として計上することができます。
【税額控除】
取得価額の10%相当額の税額控除を受けることができます。
(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)
どちらがご自身にとってメリットが大きいか気になる方は、税理士にご相談ください。
メリット2:金融支援が受けられる
経営力向上計画の認定を受けた事業者は、日本政策金融公庫や、民間金融機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援などを受けることができます。
さまざまな種類の支援がありますが、その中で代表的なものは、日本政策金融公庫による低利融資です。経営力向上計画の認定を受けることで、政策公庫が掲げる基準金利から0.9%引き下げの条件で借入を行うことができます。
メリット3:法的支援が受けられる
経営力向上計画の法的支援は、以下の3つの特例があり、主に事業承継等を行う際に利用できます。
①業法上の許認可承継の特例
以下の許認可事業は、事業継承の際に当該許認可に係る地位をそのまま引き継ぐことができます。
旅館業、建設業、火薬類製造業、火薬類販売業、一般旅客自動車運送業、一般貨物自動車運送業、一般ガス導管業
②組合発起人数の特例
企業組合又は協業組合を設立する場合は、通常発起人が最低でも4人以上必要ですが、特例により最低3人から組合を組成できます。
③事業譲渡時の免責的債務引受
業譲渡の際より簡略な手続きにより債務を移転することができます。
メリット4:各種補助金の加点対象になる
上記でもお伝えした通り、経営力向上計画の認定を受けていると、加点が受けられ、補助金の申請が有利になります。
経営力向上計画の申請から認定までの期間
経営力向上計画は、申請書を提出してから認定まで、約30日ほどかかります。
また、経営力向上計画の申請は、電子申請「Jグランツ」で行います。ログインするための「GビズID」の入力が必要になり、このGビズIDを取得するまで2週間ほどかかります。必ず余裕を持った申請をしましょう。
まとめ
いかがでしたか?経営力向上計画は、経営力向上のための取り組みについて計画を策定し、国から認定を受けることで様々なメリットがあります。一部の補助金で加点項目にもなるため、補助金の申請をお考えの事業者の方はぜひ申請してみましょう。補助金の申請と、別の申請を同時に行うのは大変だな、、、と感じる方は申請サポートを活用することをおすすめいたします。
NS&パートナーズ会計事務所では、補助金の申請から経営力向上計画の認定申請まで、トータルでサポートしています。ぜひ、お気軽にご相談ください。