2021/11/15
2023/12/25
製造業のものづくり補助金について解説
ものづくり補助金は、中小企業者等が行う革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援することを目的としており、幅広い事業者が申請可能な補助金です。
また、もともとは製造業向けの補助金から拡大してきたということもあり、製造業からの申請が多いのも事実です。
当記事では、製造業の方がものづくり補助金を活用する方法について解説していきます。
目次
ものづくり補助金の申請者のうち半数以上が製造業者
申請者の中で、最も多い業種は製造業です。
ものづくり補助金総合サイトには「補助金の申請者の業種」が掲載されています。
このデータを見ると、製造業の申請者数が圧倒的に多いのが一目瞭然です。
また、採択率に注目してみると「製造業59.8%」、「学術研究・専門技術・サービス業53.7%」、「建設業50.2%」の順で採択率が高くなっています。
ものづくり補助金の製造業の採択率が高い理由
これには大きく2つの要因があります。
賃上げ加点を狙いやすい業種である
賃上げ加点は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にすれば対象となります。数多くの製造業が、この賃上げ加点を取得しているため、採択率が高くなる理由となっています。
一方で飲食業や小売業の事業者の方は、なかなかこのレベルの最低賃金を引き上げていくのは難しい、ということでこの加点を得られない方が多くいます。
事業計画をイメージしやすい
ものづくり補助金の採択率を高めるためのカギは事業計画書の完成度にあります。
そもそも「ものづくり補助金」というだけあって、製造業の申請者を想定したような審査項目となっているので、製造業の方は事業計画書を書きやすいということもあると考えています。
また製造業における設備投資は比較的高額で、かつ機能や効果がパンフレットでまとめられている設備が多いので、審査する側も判断しやすい、という面もあります。
逆を言えば、システム構築など目に見えないものの計画書作成は難しいため、その機能や効果を審査員にわかりやすく説明することは、申請者の方にとっては頭を悩ませる種の一つかもしれません。
製造業が活用するものづくり補助金の対象者
製造業は、資本金、常時使用する従業員が以下の数字以下でしたら対象となります。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業等 | 3億円以下 | 300人以下 |
ものづくり補助金の5つの申請枠
ものづくり補助金では、5つの申請枠から構成されています。
補助上限額や補助率は、申請される枠、類型や従業員の人数によって異なります。
通常枠
項目 | 要件 |
概要 | 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額
(従業員数) |
5人以下・・・・100万円~750万円
6人~20人・・100万円~1,000万円 21人以上・・・100万円~1,250万円 |
補助率 | 補助対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2) |
回復型賃上げ・雇用拡大枠
項目 | 要件 |
概要 | 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的 な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額
(従業員数) |
5人以下・・・・100万円~750万円
6人~20人・・100万円~1,000万円 21人以上・・・100万円~1,250万円 |
補助率 | 補助対象経費の3分の2 |
デジタル枠
項目 | 要件 |
概要 | DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による 生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額
(従業員数) |
5人以下・・・・100万円~750万円
6人~20人・・100万円~1,000万円 21人以上・・・100万円~1,250万円 |
補助率 | 補助対象経費の3分の2 |
グリーン枠
項目 | 要件 |
概要 |
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供 方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額
(従業員数) |
【エントリー類型】
5人以下・・・・100万円~750万円 6人~20人・・100万円~1,000万円 21人以上・・・100万円~1,250万円 【スタンダード類型】 5人以下・・・・ 750万円~1,000万円 6人~20人・・1,000万円~1,500万円 21人以上・・・1,250万円~2,000万円 【アドバンス類型】 5人以下・・・・1,000万円~2,000万円 6人~20人・・1,500万円~3,000万円 21人以上・・・2,000万円~4,000万円 |
補助率 | 補助対象経費の3分の2 |
グローバル市場開拓枠
項目 | 要件 |
概要 | 海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロ セス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの) |
補助金額 | 100万円~3,000万円 |
補助率 | 補助対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2) |
ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金の近年の採択率は50~60%と程度となっています。申請者のうち、約半数の事業者の方が採択されています。
公募締切回 | 応募者数 | 採択者数 | 採択率 |
第7回 | 5,414件 | 2,729件 | 約50% |
第8回 | 4,584件 | 2,753件 | 約60% |
第9回 | 3,552件 | 2,223件 | 約63% |
第10回 | 4,224件 | 2,584件 | 約61% |
第11回 | 4,668件 | 2,786件 | 約59% |
第12回 | 3,200件 | 1,885件 | 約59% |
第13回 | 3,261件 | 1,903件 | 約58% |
第14回 | 4,865件 | 2,470件 | 約51% |
第15回 | 5,694件 | 2,861件 | 約50% |
同時に活用したい税制優遇制度
ものづくり補助金を活用して新たな生産設備を導入する場合、以下の制度を併用することで効果を高められる可能性があります。
経営力向上計画
経営力向上計画とは、自社の経営力を向上するための事業計画を立て、国から認定をもらいます。認定された事業者は、税制や金融の様々な支援を受けることができます。
【施策を活用する効果】
メリット1:税制優遇措置が受けられる
対象設備の導入で即時償却または10%の税額控除を受けることができます。
メリット2:金融支援が受けられる
日本政策金融公庫や、民間金融機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援などを受けることができます。
メリット3:法的支援が受けられる
主に事業承継等を行う際に利用できる、法的支援を活用することができます。
詳しくは、以下の記事でご紹介しています。
ぜひご確認ください。
関連記事▸経営力向上計画とは?メリットや申請までの流れを解説
まとめ
ものづくり補助金において、製造業の申請率・採択率はともに高いデータが出ています。
補助金額が大きいがゆえに申請準備は簡単ではありませんが、ものづくり補助金を活用することで、自社の成長につなげたり、事業を発展させることができますので、活用することをお勧めします。
NS&パートナーズでは、補助金の申請サポートも行っております。ぜひお気軽にご相談ください。