2023/1/20

2023/01/20

中小企業経営強化税制とは?中小企業投資促進税制との違いについても解説

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

 

予算の都合上、中々大きな設備投資に踏み込めない事業者の方も多いのではないでしょうか。中小企業経営強化税制は、そんな設備投資を検討する事業者を後押ししてくれる制度です。

当記事では、中小企業経営強化税制の対象者やメリット、また、中小企業投資促進税制との違いなどを詳しく解説していきます。

 

中小企業経営強化税制とは?

 

中小企業経営強化税制とは、青色申告書を提出する中小企業等が、指定期間内に、認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して指定事業の用に供した場合、即時償却または税額控除を選択適用出来る制度です。

 

即時償却または税額控除を受けられる

 

中小企業経営強化税制の大きなメリットは、対象の設備を導入することにより、即時償却または税額控除を選択適用することができます。

 

即時償却

通常、設備投資をした際の会計処理は、使用可能期間にわたって、毎年一定額を利益からマイナスする「減価償却」を行います。

一方、「即時償却」は一括して費用の全額を経費計上することができます。

中小企業経営強化税制の対象となり即時償却を適用すれば、設備投資の費用を前倒しで経費計上することができ、その年の利益が目減りします。よって、法人税の課税対象所得を抑えることができます。

即時償却によって、導入した年の節税額を増やすことができれば資金に余裕ができます。今後、積極的な設備投資を予定している事業者は、即時償却の適用がおすすめです。

 

 

税額控除

税額控除では、設備費用にかかる税金を控除してもらえる制度です。控除される税率は資本金によって異なります。

  • 資本金3,000万円未満の企業・・・・10%の税額控除
  • 資本金3,000円超1億円未満の企業・・7%の税額控除

また、税額控除には限度額があり、その年の法人税額・所得税額の20%までとなっているため注意が必要です。

 

 

即時償却と税額控除、どちらを選ぶといい?

 

小企業経営強化税制は、「即時償却」と「税額控除」いずれかを選択できます。

どちらを選択するかは、自社の状況を踏まえて検討していきましょう。

メリット デメリット
即時償却 短期間で節税効果が得られる 支払う税金の総額は変わらない
税額控除 長期的な節税効果がある

支払う税金の総額が減る

すぐに節税効果を得られない

 

 

中小企業経営強化税制の対象者・対象事業

 

①青色申告書を提出している中小企業者

中小企業経営強化税制では、青色申告者であることが条件となります。白色申告よりも作成に手間がかかりますが、特別控除など様々なメリットを受けることができます。また、対象となる「中小企業者」は以下の通りです。

  • 資本金または出資金が1億円以下の法人 
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の法人 
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の協同組合

 

◎個人事業主も対象

個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる方のことを指します。個人事業主の方も、中小企業経営強化税制の対象となります。

 

 

②経営力向上計画の認定を受けている

経営力向上計画とは、中小企業等が自社の経営力を向上するための事業計画を立て、国から認定をもらい、税制や金融のさまざまな支援を受けることができる制度です。

中小企業経営強化税制の申請には、認定を受けた経営力向上計画が必要となります。

 

関連記事▸経営力向上計画とは?メリットや申請までの流れを解説

 

 

③対象業種

中小企業経営強化税制は、対象となる業種が指定されています。

対象となる業種は以下の通りです。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送 業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、

料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業は、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限る

一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、

こん包業、郵便業、損害保険代 理業、不動産業、情報通信業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗 濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、

教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合 (他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの) 

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

 

 

中小企業経営強化税制の類型

 

中小企業経営強化税制は、導入する設備の目的によって4つの類型に分類されます。

【A類型】生産性向上設備

【B類型】収益力強化設備

【C類型】デジタル化設備

【D類型】経営資源集約化に資する設備

では、具体的に適用条件をみていきましょう。

 

A類型:生産性向上設備

A類型は生産性の向上を目的とした設備の導入が求められます。具体的な要件と対象設備は以下の通りです。

 

申請要件

 一定の期間内に販売されたモデルを導入する

  (最新である必要はありません)

 

② 経営力を向上させる設備を導入する

  (旧モデルと比較して、生産効率、エネルギー効率、精度などが年平均1%以上向上している設備)

 

対象設備

A類型の対象設備は以下のものが該当します。

用途又は細目 最低価額(1台) 販売開始時期
機械装置 全て 160万円以上 10年以内
工具 測定工具及び検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 全て 30万円以上 6年以内
建物附属設備 全て 60万円以上 14年以内
ソフトウェア 設備の稼働状況等に係る

情報収集機能を有するもの

70万円以上 5年以内

確認者

工業会等

 

 

B類型:収益力強化設備

B類型は収益力の強化を目的とした設備の導入が求められます。具体的な要件と対象設備は以下の通りです。

 

申請要件

年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれる設備であることが必要です。

投資計画案を申請し、経済産業局から認定を受け、確認書を取得します。

 

対象設備

B類型の対象設備は以下のものが該当します。

用途又は細目 最低価額(1台)
機械装置 全て 160万円以上
工具 全て 30万円以上
器具備品 全て 30万円以上
建物附属設備 全て 60万円以上
ソフトウェア 全て 70万円以上

確認者

経済産業局

 

 

C類型:デジタル化設備

C類型はデジタル化を目的とした設備の導入が求められます。具体的な要件と対象設備は以下の通りです。

 

申請要件

対象設備が事業プロセスの①遠隔操作、②可視化、③自動制御化のいずれかを可能にする設備であることが必要です。

経済産業局から認定を受け、確認書を取得します。

 

対象設備

C類型の対象設備は以下のものが該当します。

用途又は細目 最低価額(1台)
機械装置 全て 160万円以上
工具 全て 30万円以上
器具備品 全て 30万円以上
建物附属設備 全て 60万円以上
ソフトウェア 全て 70万円以上

確認者

経済産業局

 

 

D類型:経営資源集約化設備

D類型の具体的な要件と対象設備は以下の通りです。

 

申請要件

計画修了年次の修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備であることを、経済産業局の確認を受けることが必要です。

計画期間 有形固定資産回転率 修正ROA
3年 +2% +0.3%ポイント
4年 +2.5% +0.4%ポイント
5年 +3% +0.5%ポイント

 

対象設備

D類型の対象設備は以下のものが該当します。

用途又は細目 最低価額(1台)
機械装置 全て 160万円以上
工具 全て 30万円以上
器具備品 全て 30万円以上
建物附属設備 全て 60万円以上
ソフトウェア 全て 70万円以上

確認者

経済産業局

 

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

 

 

利用できる期間は2023年3月31日まで

 

中小企業経営強化税制は、2023年3月31日までの間に事業を行うために使用した対象設備に適用されます。

 

中小企業投資促進税制とは?

 

上記でご紹介した中小企業経営強化税制の他に、もうひとつ、中小企業者等が設備投資を行う場合に活用できる優遇税制措置があります。

「中小企業投資促進税制」です。

中小企業投資促進税制とは、中小企業等が生産性向上を目的に設備投資をした場合に、特別償却または税額控除が選択適用できるものです。

対象設備の取得価額の30%を特別償却または7%の税額控除、どちらかを選択適用できます。

ただし、7%の税額控除を適用できるのは、資本金3,000万円以下の中小企業のみです。

 

中小企業投資促進税制の対象者

 

青色申告書を提出する資本金額1億円以下の法人、または従業員数1,000人以下の個人事業主等が対象です。

 

中小企業投資促進税制の対象業種

中小企業投資促進税制は、対象となる業種が指定されています。

対象となる業種は以下の通りです。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、

料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)

一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶賃貸業、旅行業、

こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業 ※性風俗関連特殊営業に該当するものは除く

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

 

中小企業投資促進税制の対象設備

 

中小企業投資促進税制の対象設備は以下の通りです。

最低価額(1台)
機械装置 160万円以上
測定工具・検査工具 120万円以上

(1台30万円以上かつ複数合計120万円以上も含む)

一定のソフトウェア 70万円以上

(複数合計70万円以上も含む)

貨物自動車 車両総重量3.5トン以上
内航船舶 取得価格の75%が対象

 

中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の違い

 

中小企業経営強化税制

中小企業者等が、認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備投資をした場合に、即時償却または10%(資本金3千万円超1億円以下の場合は7%)の税額控除ができる制度

経営力向上計画の認定や工業会等からの証明書が必要な分、時間や手間がかかりますが大きな節税効果が得られるというメリットがあります。

 

中小企業投資促進税制

中小企業等者等が、設備投資等をした場合に、取得価額の30%の特別償却、または7%の税額控除ができる制度

申請手続きはそれほど複雑ではなく、手間がかからないため取り組みやすい制度であるのがメリットです。

 

まとめ

以上、「中小企業経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」との違いなどを解説させていただきました。設備投資をお考えの場合は、自社が対象となる税制をうまく活用して、メリットを受けることが良策です。

NS&パートナーズ会計事務所では、優遇税制のご相談や申請サポートを行っています。まずはお気軽にお問合せください。

 

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