2022/11/4
2022/12/06
事業再構築補助金の必要書類とは?事前準備や対象者も解説!
事業再構築補助金は、現在、第8回公募が行われています。
大規模な補助金制度であることから、申請を検討している事業者様は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、事業再構築補助金の必要書類や、申請に向けた事前準備などを詳しく解説していきます。
目次
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けた、中小企業、中堅企業、個人事業主等が、新商品・新サービスの開発や、業態・業種の転換など、思い切った事業再構築のチャレンジを、国が支援する補助金です。
予算額として、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円、令和4年度予備費予算で1,000億円が計上されており、新しい事業展開を検討する中小・中堅企業向けの補助制度として注目されている補助金の1つです。
事業再構築補助金の必要書類
事業再構築補助金で必要な申請書類は、「すべての申請者に共通する書類」と「申請枠別の書類」があります。また、複数の事業者が連携して取り組む事業の場合や、加点を希望する場合には、他にも必要な書類があります。
下記では、すべての申請者(通常枠)に共通する書類一覧を解説していきます。
①事業計画書
②認定支援機関による確認書(3,000万円以上の場合は金融機関の確認書も必要) ③コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類 ④決算書(法人のみ必要) ⑤ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報 ⑥労働者名簿 ⑦リース料軽減計算書(リース会社と共同申請する場合のみ必要) ⑧リース会社が適切にリース取引を行うことについての宣言書(リース会社と共同申請する場合のみ必要) ⑨建物の新築が必要であることを説明する書類(新築物件を補助経費として申請する場合のみ必要) |
①事業計画書
事業計画書は、採択・不採択を決める最も重要な書類です。
申請する枠の要件を満たすことや、事業再構築指針に沿って策定する必要があります。
また、事業計画書の枚数は申請金額などによって異なります。
- 補助金額1,500万円以下…A4で計10ページ以内
- 補助金額1,500万円超…A4で計15ページ以内
- 複数の事業者が連携して事業に取り組む場合…A4で計20ページ以内
指定されたページ数を超えると不採択になる、ということはありませんが、審査員は時間が限られています。極力、指定ページ内で収めるようにしましょう。
②認定支援機関による確認書(3,000万円以上の場合は金融機関の確認書も必要)
事業再構築補助金は、認定支援機関と共同で策定することが必須要件とされています。必ず、この認定支援機関の確認書を提出しなければなりません。
また、補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関の確認書も必要となります。
③売上高が減少したことを示す書類
売上減少を示すための書類の種類は、法人か個人かによって異なります。
それぞれ以下の①~⑤の書類をすべて揃える必要があります。
【法人の場合】
必要書類 | |
必要書類① | 申請に用いる任意の3カ月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の3カ月の売上が分かる年度の確定申告書別表1の控え(1枚) |
必要書類② | ①の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面) |
必要書類③ | 受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ) |
必要書類④ | 申請に用いる任意の3カ月の売上がわかる確定申告書別表一の控え(1枚) |
必要書類⑤ | ①の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面) |
【個人の場合】
必要書類 | |
必要書類① | 申請に用いる任意の3カ月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の3カ月の売上が分かる年度の確定申告書第1表の控え(1枚 |
必要書類② | ①の確定申告書と同年度の月別売上が記入された所得税青色申告決算書の控えがある場合は、その控え(両面)
白色申告の場合は、対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出する |
必要書類③ | 受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ) |
必要書類④ | 申請に用いる任意の3カ月の売上がわかる確定申告書第一表の控え(1枚) |
必要書類⑤ | ④の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある 方は、その控え(両面)
白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出する |
④決算書
個人事業主は決算書がないため、提出する必要はありません。
法人は、直近2年間の決算書が必要となります。具体的には下記の書類を提出します。
- 貸借対照表

- 損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)

- 製造原価報告書

- 販売管理費明細

- 個別注記表

⑤ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報
事業再構築補助金は電子システムにて、申請を行います。
その際、ミラサポplusで事業財務情報を入力する必要があります。作成の上、印刷機能PDF出力し添付します。
■ミラサポplusにログイン

■事業財務情報を登録する

電子申請サポート(事業財務情報)を印刷(PDF保存)

⑥労働者名簿
従業員数を示す書類として、労働者名簿が必要となります。従業員数を示す書類を準備する人は、労働基準法に基づく労働者名簿の写しを準備する必要があります。
卒業枠、グローバルV字回復枠で申し込む人は、従業員数を示す書類を準備する必要はありません。
⑦リース料軽減計算書
⑧リース会社が適切にリース取引を行うことについての宣言書
「⑦リース料軽減計算書」と「⑧リース会社が適切にリース取引を行うことについての宣誓書」は、リース会社と共同申請する際に必要な書類です。リースをする際は、空リースや多重リースの防止など、リース契約で不正しないことを約束します。作成は、リース会社が作成し、リース事業協会が確認します。リース会社と共同申請する事業者は、リース会社に書類の準備を依頼しましょう。
⑨建物の新築が必要であることを説明する書類(新築物件を補助経費として申請する場合のみ必要)
建物の新築が必要であることを説明する書類は「建物を新築することが補助事業の実施に必要であること」と「既存の建物を改築する等の代替手段がないこと」を説明する書類です。新築の建物を補助経費として申請する人は、「新築の必要性に関する説明書」を提出します。
その他、申請枠に応じた追加の書類や、加点書類などがあります。
申請する枠に合わせて、書類を準備していきましょう。
下記の確認シートは、申請枠ごとの書類の確認や、添付書類のチェックに有効です。ぜひご活用下さい。
事業再構築補助金の申請に向けた事前準備
事業再構築補助金の申請に必要な準備を終えるには、最低でも1ヵ月かかるといわれています。書類の提出には電子申請専用のIDが必要など、前もって行っておいたほうがよい事前準備を、大きく分けて3つ、解説していきます。
①申請要件の確認 ②電子申請の準備 ③事業計画策定の準備
事前準備①:申請要件の確認
事業再構築補助金の公募要領には、申請要件や対象者、スケジュールなど、申請にあたり必要な情報が書かれています。まずは、公募要領をしっかりと読み込み、事業再構築補助金の申請要件を確認し、概要を理解することが重要です。
事前準備②:電子申請の準備
事業再構築補助金の申請は、すべて「jGrants(Jグランツ)」という電子申請システムで行います。この「jGrants」を利用するには、GビズIDプライムの取得が必要です。
GビズIDプライムとは、1つのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービス。
GビズIDプライムの取得は、発行までに時間がかかるため、なるべく早めに取得手続きをしておきましょう。
事前準備③:事業計画策定の準備
申請には事業計画書が必須となり、採択されるためには、しっかりとした事業計画書を作成する必要があります。また、事業再構築補助金では、経済産業省の「事業再構築指針」との関係性と、認定支援機関と共同で策定した事業計画書であることが必要となります。
事業再構築補助金の対象者
事業再構築補助金の申請対象者は、中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等です。
【中小企業の範囲】
資本金又は従業員数が下表の数字以下であること。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業その他 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
【中堅企業の範囲】
中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社
事業再構築補助金の申請要件
事業再構築補助金に応募申請するためには、以下の必須申請要件をクリアする必要があります。
①売上が減っている
2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020年1月〜3月)の同3か月と比較して10%以上減少していること。※売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。
②事業再構築に取り組む
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である。
- 新分野展開・・新たな製品等で新たな市場に進出する。
- 事業転換・・・主な「事業」を転換する。
- 業種転換・・・主な「業種」を転換する。
- 業態転換・・・製造、販売方法等を転換する。
- 事業再編・・・合併、事業譲渡など、事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行う。
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業再構築指針に沿った事業計画を「認定経営革新等支援機関」と共同で策定すること(補助金額が3,000万円を超える場合は認定支援機関および金融機関と策定することが必須)
【認定経営革新等支援機関とは】
認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。
こちらの記事では、さらに詳しく解説しています。
④付加価値要件
補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、
又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する
※※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。
事業再構築補助金の補助額・補助率
従業員規模に応じ、補助上限額が設定されています。
通常枠
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援します。
従業員 | 補助額 | 補助率 |
20人以下 | 100万円~2,000万円 | 中小企業:2/3
(6,000万円超は1/2) 中堅企業:1/2 (4,000万円超は1/3) |
21~50人 | 100万円~4,000万円 | |
51人~100人 | 100万円~6,000万円 | |
101人以上 | 100万円~8,000万円 |
大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援します
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①および②を満たすことが必要です。
① 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
② 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3〜5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
101人以上 | 8,000万円超~1億円 | 中小企業:2/3
(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2 (4,000万円超は1/3) |
回復・再生応援枠
新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①または②のどちらかを満たすこと
① 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
② 中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | 中小企業:3/4
中堅企業:2/3 |
6~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
最低賃金枠
最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①及び②を満たすことが必要です。
①2020年10 月から2021年6 月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
②2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること
※もしくは、付加価値額が15%以上減少している
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | 中小企業:3/4
中堅企業:2/3 |
6~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
グリーン成長枠
研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
(補助額3,000 万円超は金融機関も必須)
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は 従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
③グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるもの 該当し、その取組に該当する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
中小/中堅 | 補助金額 | 補助率 |
中小企業 | 100万円~1億円 | 1/2 |
中堅企業 | 100万円~1.5億円 | 1/3 |
緊急対策枠
原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援してくれます。
【要件】
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の要件を満たすことが必要です。
①足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6 か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。また、コロナによって影響を受けていること。
従業員 | 補助額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~1,000万円 | 中小企業:3/4(※1)
中堅企業:2/3(※2) |
6~20人 | 100万円~2,000万円 | |
21~50人 | 100万円~3,000万円 | |
51人以上 | 100万円~4,000万円 |
(※1)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合
1,000万円を超える部分、 従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3
(※2)従業員5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合
1,000万円を超える部分、 従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2
事業再構築補助金の対象経費
- 建物費
建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復等
- 機械装置・システム構築費
設備、専用ソフトの購入やリース等
- クラウドサービス利用費
クラウドサービスの利用に関する経費
- 運搬費
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
- 技術導入費
本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
- 知的財産権等関連経費
新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
- 外注費
本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
- 専門家経費
本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。
- 広告宣伝費・販売促進費
本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
- 研修費
本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費
事業再構築補助金のスケジュール
第8回公募のスケジュールは以下のとおりです。
公募開始:令和4年10月3日(月)
応募締切:令和5年1月13日(金)18:00
まとめ
事業再構築補助金の必要書類をご紹介させていただきました。事業計画書自体はしっかりと作成しているものの、必要書類の不備・不足により不採択となってしまったケースもあります。初めて申請する方は、どんな書類が必要なのか調べるだけでもかなりの手間となると思います。しっかりと確認し、ミスのないように、期間に余裕をもって申請するようにしましょう。もし、自社での準備が不安な場合44、補助金の申請サポートを利用することをおすすめします。