2022/8/5
2023/12/22
ものづくり補助金の採択後の手続きとは?交付申請から補助金受給までの流れや提出書類を解説
ものづくり補助金で採択されたのはいいけど、その後の流れがどうしたらいいか分からない、そんな事業者様は多いかと思います。交付申請以降の手続きを怠ってしまうと、せっかく採択されても、補助金を受給することが出来なくなってしまいます。
今回は、そんなものづくり補助金の交付申請の流れや提出書類などを解説していきます。
目次
採択後は「交付申請」を行う!
「採択」は補助金の受領にあたっての「内定」です。車の免許で例えると「仮免」の状態です。
実際に補助事業の開始や補助金額の最終決定をするためには、記載内容の微調整と見積書をもとに、「交付申請」の手続きを行う必要があります。
交付申請が承認されることで、やっと正式な補助金対象者になることができます。
交付申請の提出期限は決められていない
交付申請はいつまでに申請しなければいけないという明確な期限はありません。
通常枠の場合、採択日から12ヵ月後の日までが「補助事業実施期間」となり、この補助事業実施期間に交付申請に限らず、様々な手続きを行わなくてはなりません。
交付申請が遅れると、そのあとの手続きを行う期間が短くなってしまいます。採択された方は出来る限り早めに交付申請を行っていきましょう。
ものづくり補助金の交付申請から補助金受給までの流れ
申請~採択発表
ものづくり補助金に申請すると、2ヵ月〜3ヶ月程度で採択結果が公表されます。
ものづくり補助金公式ホームページ上で採択者一覧が掲示されることに加え、採択者にはメールで結果の通知が届きます。
無事にものづくり補助金に採択された申請者は、続いて交付申請を行うことになります。
STEP1.交付申請
交付申請はJグランツ(電子申請システム)にログインをして行います。
交付申請を行う際は、交付申請に関する資料がいくつかありますので確認しておきましょう。
交付申請に時間がかかると、中々事業が始められず、補助事業期間中に設備の取得・試運転・検収などが終わらないリスクがあることに留意が必要です。
▼▼交付申請における参考資料▼▼
- 交付規定
- 補助事業の手引き
- 交付申請に関する説明動画(YouTube)
- Jグランツ入力ガイド
STEP2.交付決定
交付申請を経て、採択から1か月程度で正式な補助金受給の権利が確定し、「交付決定通知」をもらいます。ここで初めて、実際の補助事業を始めることができ、機械設備など補助対象経費の発注や支払いが可能となります。
交付決定がされる前に発注や支払いをされた補助対象経費は、補助金の対象にはなりませんので注意しましょう。
STEP3.補助事業実施
補助事業実施期間の10ヵ月以内に、事業計画に記載した設備等の発注・契約・支払いを行い、補助事業を完了します。全ての補助事業を10ヵ月以内に完了しないと、補助金が受け取れなくなってしまうので注意が必要です。
STEP4.中間監査
補助事業開始後、事務局の必要に応じて、補助事業の実施状況を確認する工程が行われます。この中間監査のために遂行状況報告書の提出を求められることもありますので、求められた場合は作成が必要です。
STEP5.実績報告
事業計画に沿って実施した補助事業(発注→契約→納品→支払→効果の検証)の完了後、事業計画に記載した取組みを実際に行えたかどうかの報告をします。
補助事業の具体的内容とその成果を記載した「実績報告書」を作成し、事務局へ提出します。
(※事業完了後30日以内、もしくは交付決定日から10ヵ月以内のいずれか早い日までに提出することが必要です。)
STEP6.確定検査(交付額の決定)
「実績報告書」を受領後、書類の内容を検査(確認)する「確定検査」が実施されます。
補助期間中の取組や、事業の成果を事務局に説明するとともに、場合によっては事務局が購入した機械装置などを確認する現地視察があります。
STEP7.補助金の請求(精算払請求の実施)
確定検査に合格し、実績報告に問題なければ、Jグランツによって「補助金確定通知書」が送付されます。
「補助金確定通知書」受領後、事務局あてに補助金の振込依頼を行います。
Jグランツにて振込先口座情報を入力し、補助金は指定された口座に約1~2週間程度で入金されます。
STEP8.事業化状況報告
事業完了後も、補助金を受けられた事業者は、補助事業の成果(売上・原価・利益)を算出し、5年間(計6回)にわたって、事業の状況を報告する必要があります。
また、ものづくり補助金は原則として返済不要ですが、補助金事業によって一定の利益が出た際には返還しなければならない収益納付があります。よほどの利益が出ない限り返還することはほとんどありませんが、重要事項のひとつとして覚えておきましょう。
交付申請における必要書類
交付申請に必要な書類は大きく分けて3つに分けられています。
① 申請内容ファイル
② 履歴事項全部証明書
③ 見積書、相見積書
① 申請内容ファイル
申請内容ファイルは、電子申請システムからログインしダウンロードします。申請内容ファイルには、応募申請時に入力した内容が反映されていますので、必要に応じて、変更・修正を反映し、提出します。
項目 | 概要 |
補助事業計画書 | 電子申請システムからダウンロードした「補助事業計画書」を提出します。事務局から修正指示があった場合は、指示に従って修正します。 |
会社全体の事業計画 | 交付申請時には確定値が判明しているケースがあります。応募申請時に、基準年度に見込みの数値を入力した場合は確定値に置き換えて提出します。 |
経費明細表 | 取得した見積書をもとに金額や積算基礎の情報等を追加・更新します。 |
対象となる事業者のみ
確認・追加が必要な書類 |
技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、 知的財産権等関連費を補助対象経費として計上している場合
|
② 履歴事項全部証明書
法人の場合 | 履歴事項全部証明書
(交付申請日より3ヵ月以内に発行されたもの) |
個人事業主の場合 | 確定申告書の写し |
*応募時に直近のものを提出済の場合は準備する必要はありません。
③ 見積書(相見積書)
すべての補助対象経費について、見積書を提出します。
【記載事項】
- 発行日
- 発行会社押印
- 納品場所(補助事業実施場所)
- 見積もり有効期限
- 件名
- 合計金額(税抜き)
- 合計金額(税込み)
<単価50万円(税抜き)以上の経費は相見積書の提出が必要>
単価50万円(税抜き)以上の費用については2者以上、中古品を購入する場合は3者以上から同一条件による相見積書が必要になります。
*業者選定理由書
合理的な理由により相見積書が取れない場合に提出します。
ものづくり補助金の交付申請にあたっての注意点
それでは、ものづくり補助金の交付申請にあたってとくに注意すべき内容を2つご紹介します。
補助金の返還が発生するケースもある
ものづくり補助金は “もらったら終わり“ ではありません。
場合によっては、補助金の返還が発生するケースがあります。補助金の返還が求められるケースは大きくわけて2つあります。
【返還が求められるケース】
補助金をつかった事業が大成功した | 補助金をつかった事業が大成功したパターンでは、収益納付という制度で、補助事業の成果によって大きな利益が出た場合に、その一部を国庫に返納する義務が生じることを指します。 |
賃上げの約束を守れなかった | 賃上げの約束を守れなかったパターンでは、「賃上げ計画の表明書・契約書」の内容を守れなかった場合に補助金の全額または一部を返還する必要があります。 |
交付申請に不備があると差し戻しになる
交付申請の内容に誤りや確認事項があると、差し戻されることがあります。
差し戻しになると、補助事業の開始が遅れたり、補助事業実施期間が短縮されたりする可能性があるため、なかなか補助金をもらうことができないということになってしまいかねません。
差し戻されないようしっかりと確認してから、交付申請することが重要です。
<不備により追加・修正が依頼される例> |
|
差し戻しの連絡はメールで届くため、ものづくり補助金の事務局から来るメールは早めに確認して対応しましょう。
【まとめ】ものづくり補助金の採択後の手続きとは?
交付申請が承認されることで、事業者ははじめて補助金を得る権利が得られます。
交付申請も、応募申請と同様に提出する書類や準備がたくさんあります。
交付申請が遅れると、補助事業のスケジュールも遅れてしまう可能性がありますので、不備のない事前準備で早めの交付申請を行いましょう。