2022/7/29

2022/10/17

ものづくり補助金の小売業・卸売業の採択事例と補助対象経費について解説

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

ものづくり補助金の内容

「ものづくり補助金」とは、中小企業や小規模事業者が、今後相次いで直面する働き方改革や賃上げなどの制度変更に対応するために取り組む、革新的サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善のための設備投資等を支援する補助金です。

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業庁、および独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する補助事業です。

 

ものづくり補助金の採択率は?

近年の採択率は、5〜6割程度とされており、比較的高い採択率となっています。

直近の9次締切回では、申請した事業者が過去と比較して少なかったため、このような比較的高い採択率となったと予想されます。

また、ものづくり補助金の申請者の業種を多い順から並べると、

①製造業 ②医療・福祉 ③その他となっており、小売業・卸売業は4番目に申請が多い業種となっています。

締切回 応募者数 採択者数 採択率
5次 5,299 2,337 44.1%
6次 4,980 2,362 47.4%
7次 5,507 2,768 50.2%
8次 4,653 2,780 59.7%
9次 3,613 2,247 62.1%
10次 4,294 2,612 60.8%

 

ものづくり補助金の種類

ものづくり補助金には、「一般型」と「グローバル展開型」の2つの事業類型があり、「一般型」ではさらに4つの申請枠に分けられます。

【一般型】

「ものづくり補助金」の基本となる類型です。中小企業・小規模事業者などが今後直面する制度変更、たとえば働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などに対応するために取り組む設備投資について補助されます。

申請枠:【通常枠】【回復型賃上げ・雇用拡大枠】【デジタル枠】【グリーン枠】

補助金額:100万円~2,000万円

助率:  補補助対象経費の1/2~2/3

 

【グローバル展開型】

海外拠点での活動を含む、海外事業の拡大や強化などを目的とした設備投資等を支援するものです。

補助金額:1,000万円~3,000万円

補助率:補助対象経費の1/2~2/3

 

ものづくり補助金の対象者

1.補助金を申し込む時点で、すでに創業している

創業とは、法人として会社を設立していること、個人事業主として税務署に開業届を提出していることです。

創業する「予定」という方は申し込むことができません。

 

2.資本金または従業員数が一定水準以下

資本金または従業員数が下表の一定水準以下である必要があります。

業種 資本金 従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業 5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業 3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

 

3.賃金引上げ計画を従業員に表明している

申込時点で、賃金引上げ計画を従業員に表明している必要があります。

賃上げ計画とは、以下3点すべてを満たす内容のものです。

・給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する

・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする

・事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加する

 

ものづくり補助金の小売業・卸売業の申請事例

 

①高品質なクラフトビールの国内流通の生産増強

◎業種:飲食品小売業

◎ものづくり補助金活用のきっかけ

新型コロナウイルスの影響を受け、令和2年4月は全店舗がほぼテイクアウトのみ。同月の前年対比の売上高は約8割減に。

◎対策・補助金の活用内容

・酒類小売業免許を取得し、クラフトビールの小売事業を強化。

・常温流通が可能なクラフトビールを開発し、販路を拡大。

・瓶詰、ラベル貼りの生産性向上図るべく、設備投資を実施。【ものづくり補助金を活用】

◎今後の展開

大手百貨店、大手スーパーへの納入を拡大し、家庭で高品質のクラフトビールを飲みたい消費者のニーズに応えていく。

 

②「さつまいもの新しい価値を育む」特殊技術によりオリジナルブランドを開発し国内全域で販売

業種:卸売業・小売業

◎ものづくり補助金活用のきっかけ

衛生面を含めた商品品質の向上と人手不足への対応のため

◎補助金の活用内容

AI技術を活用したさつまいもの生産ラインの自動化に務めている。

加工品については、外注による製品製造から、自社生産体制強化を積極的に進め、内製化にも取組んでいる。

◎今後の展開

オリジナルブランド芋「紅天使」の全国展開、直営販売事業の拡大。また、紅天使の生産技術の確立と品質安定のため、従来からの研究開発目的の新品種生産を目指す。

引用:ミラサポplus

 

その他の小売業・卸売業の採択事例

 

業種 事業計画書名
飲食料品小売業 外販事業部製造工場 生産能力拡大及び労働生産性向上のための設備投資計画
飲食料品小売業 四国初!農産物の「低温熟成」による付加価値向上と農産加工食品の開発・販路拡大
機械器具小売業 農業機械の定期保守サービスによる山間地農家の生産性向上支援
無店舗小売業 追熟管理システム構築による山梨ブランドのキウイ販売
織物・衣服・身の回り品小売業 ネットショップ7000商品の情報を一元管理&一括更新するシステムの構築
その他の卸売業 全自動両平刺機導入によるオーダーメイド置き畳の生産性向上
飲食料品卸売業 リキッド凍結技術の導入による食材・加工食品の海外・県外展開
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 企業連携による新素材と製造技術の融合の取り組みと関連する生産技術の開発
飲食料品卸売業 レトルト殺菌機導入による生産性向上と市場ニーズへの対応
その他の卸売業 誤嚥性肺炎予防のための嚥下の筋肉訓練具の量産化

出典:ものづくり補助金総合サイト

 

小売業・卸売業が活用できる、ものづくり補助金の対象経費

 

1.機械装置費・システム構築費

①機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用 に要する経費

②専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費 

③改良・修繕又は据付けに要する経費

※1  生産性向上に必要な、防災性能の優れた生産設備等を補助対象経費に含めることは可能。

※2  3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象。

※3  必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置 等の設備投資が必要

 

2.技術導入費

知的財産権の導入に要する経費です。補助上限額は補助対象経費の3分の1となります。

 

3.専門家経費

本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費です。補助上限額は補助対象経費の2分の1となります。

※ 本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティ ング業務や旅費等の経費を補助対象とすることが可能。(謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円を上限)。)

 

4.運搬費

運搬料、宅配、郵送料等に関する経費です。

 

5.クラウドサービス費

クラウドサービスの利用 に関する経費です。

 

6.原材料

試作品の開発に必要な原材料や資材の購⼊経費が対象となります。基本的に補助事業終了までに使い切るのが原則となり、購入は必要最小限のみです。

 

7.外注費

新製品・サービスの開発 に必要な加工や設計(デザ イン)・検査等の 一部を 外注(請負、委託等)する 場合の経費です。補助上限額は補助対象経費の2分の1となります。

 

8. 知的財産権等関連経費

特許権等の知的財産権等の取得に必要な弁理⼠の⼿続代⾏費⽤等、特許出願に係る費用が補助対象になります。補助上限額は補助対象経費の3分の1となります。

 

ものづくり補助金の申請の流れ

 

STEP1.事前準備

電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントの発行手続き等を行います。

STEP2.公募開始

公募要領は申請回により内容が変わることがあります、申請回の公募要領に沿った内容の事業計画の策定及び必要書類の準備が必要です。

STEP3.申請受付

申請期間内に必要書類をまとめて、電子申請します。

ものづくり補助金の申請は電子申請となっています。申請する場合には、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。

STEP4.採択通知

1ヵ月半〜2ヵ月で採択結果が公表されます。採択者にはメールで採択の通知があります。

STEP5.交付申請・交付決定

事業計画に必要な経費の見積書などを準備して事務局の確認を得ます。交付申請の結果、交付決定を受けるまでは設備の発注などはできません。

STEP6.補助事業実施

補助事業実施期間の10ヵ月以内に、事業計画に記載した設備等の発注・契約・支払いを行い、補助事業を完了します。全ての補助事業を10ヵ月以内に終わらせる必要があります。

STEP7.中間監査・実績報告

中間検査を経て補助事業終了後、事務局へ実績報告書を提出します。補助金額は最終的に補助事業実施期間に支払った費用により確定します。

STEP8.確定検査(交付額の決定)

実績報告書の提出後、確定検査により補助事業実施期間の取組みや成果の説明を行います。

STEP9.補助金請求、支払い

実績報告及び確定検査に問題がなければ、補助金額が確定します。ここまできて補助金の請求、支払いを受けることができます。設備購入に借入が必要な場合は事前に金融機関への相談が必要となります。

 

まとめ

いかがでしたか?ものづくり補助金は、製造業だけではなく幅広い業種で申請可能です。ただ、事業計画書など作成しなければならない書類は多く、要件をクリアするのは決して簡単ではありません。補助金についてお悩みの方は、専門家に相談してみてください。申請の代行を依頼する際の費用はかかりますが、自分で申請準備をするよりも、所要時間や手間が省くことができます。

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