2022/7/22

2024/02/22

農業に活用できるものづくり補助金!対象経費や採択のポイントを解説

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

ものづくり補助金とは、中小企業庁が実施している補助金制度であり、中小企業や小規模事業者が取り組む、

「革新的なサービス」、「試作品の開発」、「生産性を向上」を

目的とした設備投資等を支援する補助金です。

100万円~8,000万円を上限に、費用の1/2~2/3を補助してくれます。

 

私たちが生きていくうえで必要不可欠な穀物や野菜といった食物を育てる農業。

そんな農業を営んでいくにはさまざまなコストがかかります。

農具や農業用機械の導入は多額の費用がかかるものが多く、自社の事業発展を考えていても、

中々その一歩を踏み出せずにいる農業経営の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

さまざまな業種で活用できるものづくり補助金ですが、今回は農業での活用編について解説していきたいと思います。

 

ものづくり補助金の概要

 

ものづくり補助金の対象者

すでに創業している中小企業・小規模事業者・個人事業主が対象です。

業種ごとに資本金や従業員数(常勤)の上限が決められており、どちらかが下回っていれば対象となります。

業種 資本金 従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業、旅行業 3億円 300人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人
ゴム製品製造業 3億円 900人
卸売業 1億円 100人
旅館業 5千万円 200人
サービス業 5千万円 100人
小売業 5千万円 50人

※みなし大企業は、補助対象外となります。

 

ものづくり補助金を活用するための基本要件

① 以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定すること

  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること
  • 事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

② 補助事業実施期間中に、発注・納入・検収・支払等の手続きを完了していること

 

 

ものづくり補助金の補助率と補助金額

ものづくり補助金では、3つの申請枠から構成されています。

補助上限額や補助率は、申請される枠、類型や従業員の人数によって異なります。

申請枠・類型 補助上限額と補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合
省力化(オーダーメイド)枠 【補助上限額】従業員数

  5人以下・・・・・・750万円(1,000万円)

  6人~20人・・・1,500万円(2,000万円)

21人~50人・・・3,000万円(4,000万円)

51人~99人・・・5,000万円(6,500万円)

  100人以上・・・8,000万円(1億円)

【補助率】

中小企業 1/2 ※

小規模・再生 2/3 ※

※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 

製品・サービス高付加価値化枠 通常類型 【補助上限額】従業員数

  5人以下・・・・・・750万円(850万円)

  6人~20人・・・1,000万円(1,250万円)

    21人以上・・・1,250万円(2,250万円)

【補助率】

中小企業 1/2 

小規模・再生 2/3 

新型コロナ回復加速化特例 2/3

成長分野進出類型(DX・GX) 【補助上限額】従業員数

  5人以下・・・・1,000万円(1,100万円)

  6人~20人・・・1,500万円(1,750万円)

    21人以上・・・2,500万円(3,500万円)

【補助率】

2/3

グローバル枠 【補助上限額】  5人以下・・・・3,000万円(3,100万円)

  6人~20人・・・3,000万円(3,250万円)

    21人以上・・・3,000万円(4,000万円)

【補助率】

中小企業 1/2

小規模 2/3

 

 

ものづくり補助金の対象経費

以下の経費が対象です。※単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

  • 機械装置費
  • システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス費
  • 原材料
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

◎農業で活用する場合、申請する対象経費の例として以下のものが挙げられます。

  • ドローンなどのスマート農業関連機器
  • 特定の作業を行うための重機
  • 新型トラクター
  • 播種機(種まき機)
  • 作物専用の収穫機 等

 

日本の農業が抱える課題

 

高齢化による人手不足

日本全体の高齢化もあって、農業関係者の平均年齢は上がっています

農業従事者の70%が65歳以上と高齢化していることや、新規就農者が減少傾向にあることが、高齢化による人手不足の大きな原因です。

また、離農者も年々増加しています。

多くの農家の経営は苦しく、儲からないために、農家をやめ別の道で生計を立てる人が増えているためです。

出典:農林業センサス農業構造動態調査(農林水産省統計部)

 

 

耕作放棄地の増加

耕作放棄地とは、農作物が1年以上作付けされず、農家が数年の内に作付けする予定が無いと回答した田畑、果樹園のことをいいます。

耕作放棄地の増加の原因として、農業従事者の高齢化や労働力不足から、耕作をあきらめる田畑や果樹園が増え、廃れていくことが考えられます。

 

農業でのものづくり補助金の申請事例

【補助事業】

環境制御システム導入による高糖度ミニトマトの生産効率向上への挑戦

【補助金交付額】

10,000,000円

【補助金導入のきっかけ】

質の高いミニトマトを作るためには、日照・温度・湿度など、ハウスの環境制御設備の導入が欠かせないと考えていた

【利用した主な設備導入】

①真夏の生産量を増加させる取り組みとして「ミスト発生装置」

②冬の収穫量増加につながる取り組みとして「2層自動カーテン装置」と「CO2発生装置」

③春秋の品質向上につながる取り組みとして「除湿機」

【補助事業の効果】

収量・品質の向上だけでなく、事業計画書を作成するためには、課題を見つけ、具体的な改善・解決のプロセスについて考えなくてはならないため、課題意識も高まった。

引用:ミラサポplus

 

その他、農業の採択事例

  • 独自の加熱・冷却技術による「完全無添加100%ジュース」の試作・開発
  • 世界初の新品種・早生デュラム小麦を使った「国産・生パスタ」の製造による新市場の開拓
  • 耕作放棄地・休耕田を利用した季節型別農業の実施
  • 伝統野菜の原料・食品製造作業の機械化による生産性と品質の向上
  • 製造環境整備と生産データ管理のIT化によるほしいもの品質向上と販売拡大
  • オーガニックを中心とした健康食品の販路拡大と生産プロセス確立

出典:ものづくり補助金総合サイト

 

ものづくり補助金の公募・申請スケジュール

 

18次締切回のスケジュールは以下の通りです。

  • 応募締切:2024年3月27日(水) 17時まで
  • 採択発表:2024年6月下旬頃
  • 実施期間:2024年12月10日(火)まで

出典:ものづくり補助金総合サイト

 

ものづくり補助金、採択されるためのポイント

ポイント1:公募要領をよく読む

公募要領には、ものづくり補助金の目的、補助対象者、補助対象事業や条件、スケジュールなど、申請をするにあたって必要な情報がすべて書かれています

まずは公募要領をしっかりと読み込み、申請要件を満たすことが重要です。公募要領はものづくり補助金総合サイトから入手することが出来ます

▸公募要領はこちら

 

ポイント2:誰が見ても分かる事業計画書

採択を決める審査員は人であり、多くの事業計画書に目を通すため、審査時間が限られています。また、必ずしも分野の専門的知識をもっているとは限りません。

専門用語はなるべく使わず、表やグラフを用意し、読んで分かる、よりも、“見て分かる“事業計画書を作成することが、採択の道へと近づきます。

 

ポイント3:審査項目に答えている

最低限おさえておくべきポイントになります。基本の審査項目を満たしていないと、審査には通りません

技術面

  • 事業の革新性がある
  • 課題とその解決方法が明確である

 事業化面

  • 補助事業が適切に遂行される妥当性がある
  • 提供する製品、サービスの市場ニーズ、マーケットが明確である

 政策面 

  • 高い生産性を発揮し、国の政策と一致している
  • 雇用の創出など、地域経済や経済成長を牽引できる

 

まとめ

ものづくり補助金の概要を、農業の活用方法を交えてご紹介させていただきました。

ものづくり補助金は、製造業だけの補助金と思われがちですが、さまざまな業種で活用できる補助金です。

ぜひとも、ものづくり補助金を活用し、更なる自社の農業事業の拡大に役立ててみてはいかがでしょうか。

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