2022/7/8

2023/08/14

ものづくり補助金を情報通信業で活用するには?

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

ものづくり補助金とは、正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。

 中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

ものづくり補助金は、すべての業種が申し込める補助金制度です。

補助金の名前から、製造業だけが対象?と思われがちですが、そうではありません。

情報通信業でも対象になります。 

今回は、今後さらなる成長が見込まれる、情報通信業のものづくり補助金について解説していきます。

 

情報通信業はものづくり補助金の対象!

 

中小企業や小規模事業者の支援を目的としていますので、中小企業・小規模事業者であれば対象となります。

 また、すでに創業していることが条件です。

【中小企業者の定義】

資本金・従業員数(常勤)のどちらかが下回っていれば、中小企業に該当します。 

業種 資本金 従業員数(常勤)
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人

 

【小規模事業者の定義】

従業員数(常勤)が下回っていれば、小規模事業者に該当します。 

業種 従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業、その他(ソフトウェア業又は情報処理サービス業等) 20人以下
卸売業、サービス業、小売業 5人以下

※みなし大企業は対象外

発行済み株式総数の半分以上を大企業が所有していたり、役員構成の半分以上が大企業の役員などの会社は、大企業とみなされてしまい、補助対象から外れてしまいますので注意しましょう。

 

 

情報通信業の課題

 

いまや私たちの生活に欠かせないサービスを提供する情報通信業界ですが、課題も多くあります。

その課題を解決させるために、ものづくり補助金は多くの事業者に活用されています。

ここでは、情報通信業における課題をいくつかご紹介していきます。

 

 セキュリティリスクの増大

ここ数年、テレワークやIoTの拡大によって通信の重要が増しました。一方、通信技術が広がれば広がるほど、サイバー攻撃を受けるリスクも高まります。現状、日本国内外において、多くの企業がサイバー攻撃によって稼働停止や情報漏えいなどの被害に遭っています。

 

 人材不足

通信技術の進化するスピードの速さから、情報通信業の市場は年々拡大しています。しかし、需要が高まる一方、供給が間に合っていないのが現状です。

 

 地域による格差

現実的には、地域によってどうしても通信格差は生まれてしまいます。最新技術が生まれたとしてもすぐに全国各地にサービスが提供されるわけではなく、大都市などの発展した地域から少しずつ普及を進めていくのが一般的です。今後、そうした地域格差をスムーズに縮めていくのも通信業界の課題のひとつです。

 

【ものづくり補助金】情報通信業の過去の採択事例

 

  • IoT向け新規セキュリティ技術を搭載した大容量データ暗号化認識システム
  • 当社開発のARアプリ「ARISAR」を活用した地域産業の活性化
  • GPS 位置情報とAR(拡張現実)を活用した建設工事検収用写真デジタル化システムの開発
  • 駐車場利用者の駐車位置を自動特定するシステムの開発と実証
  • 在宅療養支援病院と地域医療・介護施設を結んだ地域医療包括連携の実現
  • インフラ点検を効率化・低コスト化するための3次元計測器の導入
  • IoT技術と自動制御を組込んだ食品業界向け撹拌装置の開発
  • 町おこしを目的とした道の駅オリジナル商品開発のための食品製造機械の導入

 出典:ものづくり補助金総合サイト

 

ものづくり補助金に申請するための条件とは?

 

 ものづくり補助金に応募するために以下の要件を満たす必要があります。

 以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書を策定していること。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

 

 

ものづくり補助金の申請枠は?

 

ものづくり補助金では、5つの申請枠から構成されています。

補助上限額や補助率は、申請される枠、類型や従業員の人数によって異なります。

 

通常枠

項目 要件
概要 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額

(従業員数)

5人以下・・・・100万円~750万円

6人~20人・・100万円~1,000万円 

21人以上・・・100万円~1,250万円

補助率 補助対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2)

 

 

回復型賃上げ・雇用拡大枠

項目 要件
概要 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的 な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額

(従業員数)

5人以下・・・・100万円~750万円

6人~20人・・100万円~1,000万円 

21人以上・・・100万円~1,250万円

補助率 補助対象経費の3分の2

 

 デジタル枠

項目 要件
概要 DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による 生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額

(従業員数)

5人以下・・・・100万円~750万円

6人~20人・・100万円~1,000万円 

21人以上・・・100万円~1,250万円

補助率 補助対象経費の3分の2

 

グリーン枠

項目 要件

概要

温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供 方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 
補助金額

(従業員数)

【エントリー類型】

5人以下・・・・100万円~750万円

6人~20人・・100万円~1,000万円 

21人以上・・・100万円~1,250万円

【スタンダード類型】

5人以下・・・・  750万円~1,000万円

6人~20人・・1,000万円~1,500万円 

21人以上・・・1,250万円~2,000万円

【アドバンス類型】

5人以下・・・・1,000万円~2,000万円

6人~20人・・1,500万円~3,000万円 

21人以上・・・2,000万円~4,000万円

補助率 補助対象経費の3分の2

 

 

グローバル市場開拓枠

項目 要件
概要 海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロ セス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの)
補助金額 100万円~3,000万円 
補助率 補助対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2)

 

 

ものづくり補助金のスケジュールは?

 

16次締切回のスケジュールは以下の通りです。

公募開始:令和5年7月28日(金) 17時~ 

申請受付:令和5年8月18日(金) 17時~ 

応募締切:令和5年11月7日(火) 17時

採択発表:令和6年1月中旬

出典:ものづくり補助金総合サイト

 

ものづくり補助金を申し込むにあたっての注意点

 

  • 購入済みの設備は適用できない

とくに気を付けなければいけないことは、交付決定を受けた日付から最大10カ月の間に支出された経費が対象です。補助事業期間の前後の支出については、補助金は下りないので注意しましょう。

 

  • 補助金は原則後払い

採択されればすぐに金銭的サポートが受けられるわけではありません。補助事業はまず、借入などを含む自己資金で実施する必要があります。最終的には支給されるお金ですが、補助事業の際は一時的に高額を負担することになります。

 

  • 補助金をもらうことが目的ではない

ものづくり補助金は、困っている企業を補助する制度ではありません。革新的サービス開発、試作品開発等、景気活性化に向けた取り組みをする企業を支援する補助金制度になります。

 

ものづくり補助金の必要書類とは?

 

提出する書類には、必ず提出しなければならない「必須書類」と、提出すれば加点される「任意書類」の2種類があります。

 

必須書類

1)事業計画書

2)   補助経費に関する誓約書

3)賃上げ引上げ契約書

4)決算書等

5)従業員数の確認資料

6)労働者名簿

 

任意書類

7)経営革新計画承認書等

8)開業届または履歴事項全部証明書

9)事業継続力強化計画認定書

10)特定適用事業所該当通知書


 

【必須書類】

1)事業計画書

事業の具体的な内容等を記載します。

その1:補助事業の具体的取組内容

その2:将来の展望

その3:事業計画における付加価値額等の算出根拠

 

2)補助経費に関する誓約書

応募申請の際、全ての事業者の方において提出が必要となるものです。ものづくり補助金総合サイトより様式1をダウンロードし添付します。

 

3)賃上げ計画の契約書

賃上げ引上げ計画を従業員に表明したことを示す書類

 

4)決算書等

直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細

個人事業主の場合は確定申告書等を添付します。

設立2年目の場合は1年分を添付し、設立1年目の場合は設立事業計画書を添付します。

 

5)従業員数の確認資料

法人の場合:法人事業概況説明書

個人の場合:所得税青色申告決算書 または 所得税白色申告収支内訳書 

 

6)労働者名簿

下記の2点に当てはまる場合には、労働者名簿も用意する必要があります。

・応募申請時の従業員数が21名以上である

・「従業員数の確認資料」における期末の従業員数が20名以下の場合

 

【任意書類】

7)経営革新計画承認書等

成長性加点・・・経営革新計画承認書及び承認を受けた計画書を添付します。

 

8)開業届または履歴事項全部証明書

政策加点・・・創業、第二創業間もない事業者(5年以内)については政策加点を受けられます。

 

9)事業継続力強化計画認定書

災害等加点・・・事業継続力強化計画の認定を取得している事業者は災害加点を受けられます。

 

10)特定適用事業所該当通知書

賃上げ加点・・・被用者保険の任意適応をしている事業者は、賃上げ増加要件の緩和及び賃上げ加点を受けられます。

 

【まとめ】情報通信業が活用するものづくり補助金

 

情報通信業界は、コロナウイルスの影響等により、更なる成長が見込まれています。「機械装置などの設備投資を行いたいが、大きな費用がかかり、あと一歩踏み出せない」という事業者には、ものづくり補助金の活用をお勧めします。ぜひ、自社の事業拡大に役立ててください。

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