2022/7/8
2024/02/22
ものづくり補助金を情報通信業で活用するには?
ものづくり補助金とは、正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
補助金の名前から、製造業だけが対象?と思われがちですが、そうではありません。
情報通信業でも対象になります。
今回は、今後さらなる成長が見込まれる、情報通信業のものづくり補助金について解説していきます。
目次
情報通信業はものづくり補助金の対象!
中小企業や小規模事業者の支援を目的としていますので、
中小企業・小規模事業者であれば対象となります。
また、すでに創業していることが条件です。
【中小企業者の定義】
資本金・従業員数(常勤)のどちらかが下回っていれば、中小企業に該当します。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
【小規模事業者の定義】
従業員数(常勤)が下回っていれば、小規模事業者に該当します。
業種 | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業、その他(ソフトウェア業又は情報処理サービス業等) | 20人以下 |
卸売業、サービス業、小売業 | 5人以下 |
※みなし大企業は対象外
発行済み株式総数の半分以上を大企業が所有していたり、役員構成の半分以上が大企業の役員などの会社は、大企業とみなされてしまい、補助対象から外れてしまいますので注意しましょう。
情報通信業の課題
いまや私たちの生活に欠かせないサービスを提供する情報通信業界ですが、課題も多くあります。
その課題を解決させるために、ものづくり補助金は多くの事業者に活用されています。
ここでは、情報通信業における課題をいくつかご紹介していきます。
セキュリティリスクの増大
ここ数年、テレワークやIoTの拡大によって通信の重要が増しました。
一方、通信技術が広がれば広がるほど、サイバー攻撃を受けるリスクも高まります。
現状、日本国内外において、多くの企業がサイバー攻撃によって稼働停止や情報漏えいなどの被害に遭っています。
人材不足
通信技術の進化するスピードの速さから、情報通信業の市場は年々拡大しています。
しかし、需要が高まる一方、供給が間に合っていないのが現状です。
地域による格差
現実的には、地域によってどうしても通信格差は生まれてしまいます。
最新技術が生まれたとしてもすぐに全国各地にサービスが提供されるわけではなく、大都市などの発展した地域から少しずつ普及を進めていくのが一般的です。
今後、そうした地域格差をスムーズに縮めていくのも通信業界の課題のひとつです。
【ものづくり補助金】情報通信業の過去の採択事例
- IoT向け新規セキュリティ技術を搭載した大容量データ暗号化認識システム
- 当社開発のARアプリ「ARISAR」を活用した地域産業の活性化
- GPS 位置情報とAR(拡張現実)を活用した建設工事検収用写真デジタル化システムの開発
- 駐車場利用者の駐車位置を自動特定するシステムの開発と実証
- 在宅療養支援病院と地域医療・介護施設を結んだ地域医療包括連携の実現
- インフラ点検を効率化・低コスト化するための3次元計測器の導入
- IoT技術と自動制御を組込んだ食品業界向け撹拌装置の開発
- 消防設備点検作業を効率化し一元化できるアプリ開発
- 卸売商社の強みを活かすDX化、提案力強化のための情報基盤構築
- 最先端のデジタル技術を活用したアプリの開発による業務効率化と事業拡大
ものづくり補助金に申請するための条件とは?
ものづくり補助金に応募するために以下の要件を満たす必要があります。
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書を策定していること。
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
ものづくり補助金の申請枠は?
ものづくり補助金では、3つの申請枠から構成されています。
補助上限額や補助率は、申請枠・類型・従業員の人数によって異なります。
申請枠・類型 | 補助上限額と補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 | |
省力化(オーダーメイド)枠 | 【補助上限額】従業員数
5人以下・・・・・・750万円(1,000万円) 6人~20人・・・1,500万円(2,000万円) 21人~50人・・・3,000万円(4,000万円) 51人~99人・・・5,000万円(6,500万円) 100人以上・・・8,000万円(1億円) 【補助率】 中小企業 1/2 ※ 小規模・再生 2/3 ※ ※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
|
製品・サービス高付加価値化枠 | 通常類型 | 【補助上限額】従業員数
5人以下・・・・・・750万円(850万円) 6人~20人・・・1,000万円(1,250万円) 21人以上・・・1,250万円(2,250万円) 【補助率】 中小企業 1/2 小規模・再生 2/3 新型コロナ回復加速化特例 2/3 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 【補助上限額】従業員数
5人以下・・・・1,000万円(1,100万円) 6人~20人・・・1,500万円(1,750万円) 21人以上・・・2,500万円(3,500万円) 【補助率】 2/3 |
|
グローバル枠 | 【補助上限額】 5人以下・・・・3,000万円(3,100万円)
6人~20人・・・3,000万円(3,250万円) 21人以上・・・3,000万円(4,000万円) 【補助率】 中小企業 1/2 小規模 2/3 |
ものづくり補助金のスケジュールは?
18次締切回のスケジュールは以下の通りです。
- 申請締切:2024年3月27日(水)17時まで
- 採択発表:2024年6月下旬頃
- 実施期間:2024年12月10日(火)まで
ものづくり補助金を申し込むにあたっての注意点
購入済みの設備は適用できない
とくに気を付けなければいけないことは、交付決定を受けた日付から最大10カ月の間に支出された経費が対象です。
補助事業期間の前後の支出については、補助金は下りないので注意しましょう。
補助金は原則後払い
採択されればすぐに金銭的サポートが受けられるわけではありません。
補助事業はまず、借入などを含む自己資金で実施する必要があります。
最終的には支給されるお金ですが、補助事業の際は一時的に高額を負担することになります。
補助金をもらうことが目的ではない
ものづくり補助金は、困っている企業を補助する制度ではありません。
革新的サービス開発、試作品開発等、景気活性化に向けた取り組みをする企業を支援する補助金制度になります。
まとめ
情報通信業界は、コロナウイルスの影響等により、更なる成長が見込まれています。
「機械装置などの設備投資を行いたいが、大きな費用がかかり、あと一歩踏み出せない」という事業者には、ものづくり補助金の活用をお勧めします。
ぜひ、自社の事業拡大に役立ててください。