2021/9/20
2022/11/02
ものづくり補助金の応募要件とは?
目次
すべての業種が申し込めるものづくり補助金
ものづくり補助金とは、生産性向上を目的とした革新的な取り組みなどを行おうとしている事業者を支援する補助金で、100万円~3000万円を上限に、費用の1/2~2/3を補助してくれます。
中小企業・小規模事業者・個人事業主等が対象で、基本的にどんな業種の企業でも応募することができます。
ただし、ものづくり補助金への応募を検討するうえでは、さまざまな要件について考慮する必要があります。応募を検討する際には、要件をチェックして自社が申請可能かどうか確認しておきましょう。
ものづくり補助金の対象要件
要件1:すでに創業していること
申請時点で、事業を開始していることが条件です。これから創業予定の場合は対象にはなりません。
法人の場合・・・・・設立登記を行っている
個人事業主の場合・・税務署に開業届を提出している
要件2:応募者の企業規模が基準以下である
業種によって、資本金と従業員数の上限がそれぞれ定められており、いずれかが基準以下であれば対象となります。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
みなし大企業は対象外
みなし大企業とは、中小企業の規模でありながら大企業の傘下に入っていたり、出資関係にあったりすることです。
みなし大企業は、中小企業基本法では中小企業として認められています。しかし、ものづくり補助金においては対象外です。たとえ事業規模が中小企業であったとしても「みなし大企業は大企業のコントロール下にある」とされるからです。
要件3:賃金引上げ計画の表明をしていること
以下の3つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していることが必要になります。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
③事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上 の水準にする
ただし、ものづくり補助金に応募する段階では実際に賃金の値上げまで踏み切る必要はありません。3~5年賃金引き上げの計画を従業員に表明しているだけで大丈夫です。
ものづくり補助金の採択における要件とは?
ものづくり補助金の応募にあたり、企業規模や業種の要件は決められていますが、採択を決める審査においては、準備した事業計画で決まります。応募が出来ても、採択が得られなければ申請する意味がありません。
そもそも自社の計画は、“採択における要件“を満たしているか“についても、応募前に確認する必要があります。
①補助対象事業としての適格性
- 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月後の日まで)に発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了する事業であるか
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画であり、この内容を従業員に表明しているか
- 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする事業計画であり、この内容を従業員に表明しているか
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加する事業計画であり、この内容を従業員に表明しているか
- 応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有しているか
②技術面
- 新商品・新サービスの革新的な開発となっているか
- 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているか
- 目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか
- 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか
- 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか
③事業化面
- 事業を遂行する体制があり、財務状況に問題ないか。金融機関から資金調達はできるか
- 市場ニーズがある計画か
- 価格・性能が優位性・収益性があり、遂行方法や実施スケジュールは妥当か
- 事業の費用対効果は高いか
④政策面
- 地域経済と雇用の支援につながることが期待できるか
- ニッチ分野において差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか
- 単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組む ことにより、高い生産性向上が期待できるか
- 新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか
- ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、事業環境の変化に対応する投資内容であるか
ものづくり補助金の審査で最も重要な要件は「革新性」
ものづくり補助金の審査を通過するための一番のポイントは「革新性」です。
その 革新性について、ものづくり補助金を管轄する中小企業庁の担当者は次のように述べています。革新性とは、「自社にとって新しい取り組みであり、他社でも一般的でもなく、地域・業種内における先進事例にあたる取り組みのこと」です。
ただ設備を新調するだけでは認められない
ものづくり補助金は困っている企業を助けるための補助金ではありません。
簡単に言えば、政府による景気活性化のための【投資】です。景気活性化に向けた取り組みに対し、ものづくり補助金の一番のポイントである「革新性」がない計画は、まず採択されないと考えていいでしょう。
革新性ばかり追求して事業性を度外視するのもNG
ものづくり補助金は国のお金、つまり国民の税金で賄われています。そのため、ものづくり補助金を利用する事業者には、ある程度社会経済への寄与が求められます。
仮に他社がまったく手を付けていない分野で革新性のある事業計画を立てても、消費者のニーズが乏しく、事業の将来性も見込めないような内容だと審査には通りません。事業として成立する革新性を持った事業計画を立てることが大切です。
加点対象となる「経営革新計画」
ものづくり補助金の採択は、「事業計画書の内容」+「加点項目」によって決まります。
採択を決める審査で、より高い点を取るためには、事業計画書を充実させていることはもちろんですが、加点項目の積み重ねも重要です。そして、加点対象としてよく話題に上るのが「経営革新計画」です。
経営革新とは
経営革新とは、事業の経営を一定程度向上させることです。
ものづくり補助金においては、設備投資を行うことで経営がある程度向上させることができればいいのです。その経営が向上したかどうかの判断には明確な基準があります。主に「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」と「経常利益」によって判断されます。
経営革新計画で加点を受けるには承認を受けている必要がある
経営革新計画は、作成して自社内で完結すればいいというものではありません。作成した経営革新計画を都道府県または国に提出して承認を受けて、初めて加点の対象となるのです。
そのほかにも加点対象となる要件はありますので、確認しておきましょう。
まとめ
ものづくり補助金は、中小企業が設備投資を行う際には是非利用を検討して頂きたい補助金制度です。その特徴からすでに創業している中小企業の事業である必要や、賃金の値上げなど満たさなければいけない要件はありますが、事業者の方にとっては心強い制度になっています。
ものづくり補助金はライバルも多いため、採択されるためには申請書の内容はもちろん加点対象となる要件を満たすことも重要です。応募するときは自社がどんな要件を満たすことができるのかを確認することが大切です。