2021/11/23
2023/12/25
建設業でものづくり補助金は活用できる?採択されるためのポイントを解説!
ものづくり補助金は、中小企業が経営革新を図るために投資する設備等に活用できる補助金です。
新製品の試作品の開発、設備の新規導入、新たなサービスの取り組みや、これらの導入に必要な専門家への相談費、人材の確保などにかかる費用の一部が補助対象です。
建設業を営む事業者の方でも、新たな設備投資や生産性向上を目的に、ものづくり補助金の申請を検討している方も少なくないでしょう。
当記事では、建設業の方がものづくり補助金を活用する際のメリットやポイントについて解説していきます。
目次
建設業でものづくり補助金は活用できる!
ものづくり補助金は、建設業も補助対象です。
具体的には、すでに創業している中小企業・小規模事業者・個人事業主で、「総合工事業」「職別工事業」
「設備工事業」「技術サービス業」を営む事業者が対象となります。
<対象となる中小企業者(組合関連以外)>
資本金と従業員数が定められており、いずれかが基準以下であれば対象となります。
業種 | 資本金 | 従業員(常勤) |
製造業、建設業、運輸業等 | 3億円 | 300人 |
ものづくり補助金についてより詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
建設業でのものづくり補助金のメリット
ものづくり補助金の導入は、中小企業の革新的経営につながるものとされるわけですが、具体的に建設業の方が導入することでどのようなメリットがあるのかみていきましょう。
メリット1:今までなかなか導入出来なかったIT分野への活用に取り組める
例えば、ドローンを導入することによって屋根や高階層の外壁など高所での点検作業でも足場が必要なく行えたり、作業のリスクを少なくできたりします。
メリット2:感染拡大などの影響されにくい営業システムの導入
非対面型のサービス導入により、今まで対面で行ってきた打ち合わせや現場確認を遠隔などで進めることができ、感染症拡大などにも影響されにくい営業システムの導入なども検討することができるでしょう。
建設業界はデジタル化が進む中でも、手仕事が必要なアナログ世界であることは否めません。
しかし、現場以外での効率化はまだまだ改善の余地があります。
ものづくり補助金の導入は、建設業の革新的な経営への取り組みに非常に有意義な制度といえるのです。
建設業でものづくり補助金を申請する場合どのような事業計画が採択されるのか?
具体的にどのような計画が採択されているのか、建設業の採択事例をいくつかご紹介していきます。
採択事例その1:新製品開発
寒冷地における強度と耐久性に優れた、独自セメント混和剤を開発することに成功したという事例です。
寒冷地において長年にわたる凍結と融解の繰り返しによって、コンクリートが徐々に劣化する現象(凍結融解)を防ぐ新しい混和剤の開発というものです。
その結果、建設工事においてより良い新製品が生まれ、かつそれを世界に向けて販売することができ、大幅な売上向上につながりました。
新製品を開発することで、建設工事の発展と売上向上の双方を達成することが可能となりました。
採択事例その2:IT技術導入による生産性向上
建設工事においてドローンや3D測量設計ソフトを導入することで、生産性向上を図るというものがあります。
溶接ロボットシステムを導入することによって、建築構造体加工の高品質、短納期計画というものも採択されていました。
過去の採択された事業計画
- 国交省i-Constructionを実践!当社だけでなく建設産業全体の効率化推進!
- 建設機械のリアルタイム自動制御化による土木工事の革新的改善
- 三次元測量データによる、建設現場のICT施工技術の全面的活用
- ICT測量機導入による未開地における革新的短工期土木工事事業
- 情報化施工対応で測量技術の高度化を図り高度施工技術、複合工事の導入と生産性向上
- ICT施工の構築により、人手の頼らない新市場(農水産・建築)を開拓
- 測量作業へのICT機器導入による生産性向上と災害復旧への貢献
- GNSSによる位置情報システムを活用した測量技術の高度化事業
- 最新鋭測量機器導入による測量の省人化、トータル時間の削減
- 高性能プラズマ切断機導入によるコスト削減と生産性向上
- タッチパネル式動力折曲機導入による作業効率改善と付加価値向上を目指す
- 下水道管調査カメラ導入による調査プロセスの改善
- 動力折り曲げ機導入による加工精度と作業効率の向上
- 循環式ハイブリッドブラスト工法による産廃削減と工期短縮化
- 建設DX推進に向けた環境整備と新たな事業サービス展開
- 平板化方式の導入による革新的生産方法の確立とSDGsへの貢献
- 建設業者による3Dスキャナを活用した測量図面製作および現場管理
- 茨城県内解体工事WEB無料見積システムの開発、運営
- ペイロード付き油圧ショベルでの骨材積込・運搬工程の生産性向上
- 新規重機の導入とICT活用による生産性向上
- 屋根板金工事の生産性革命 変寸式カラクサ成形機を導入する
- 公園に最適化された3次元測量技術の獲得による全国展開
- ICT重機及びマシンガイダンスシステム導入による土木工事事業の革新
- ICT施工体制構築による舗装工事の生産性向上計画
- 最新の合板加工機導入し業務効率化及び新規取引先増加を目指す
建設業でのものづくり補助金を申請する際のポイント
ものづくり補助金は、申請をすればすべての事業者が採択されるわけではありません。
ものづくり補助金の事務局により審査が行われ、補助金支給にふさわしいと判断された事業者のみが受け取ることができます。
採択されるためには、審査項目をしっかりと理解し、アピールする必要があります。
審査項目は大きく分けて、【基本の審査項目】+【加点項目】という2つの構成されています。
【基本の審査項目】
最低限おさえておくべきポイントになります。
基本の審査項目を満たしていないと、そもそも審査に通りません。
補助対象事業としての適格性
審査項目として記載されているものの、あくまでも申請可能な条件を満たしているかという項目です。
<以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること>
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる。
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる。
技術面
- 事業の革新性があるか
- 課題とその解決方法・達成度の考え方が明確であるか
- 優位性が見込まれるか
- 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか
事業化面
- 社内体制・財務状況・スケジュール等、補助事業が適切に遂行される妥当性があるか
- 市場規模・マーケットが明確であるか
- 市場ニーズの有無を検証できているか
- 補助事業として費用対効果が高いか
政策面
- 地域の経済成長を牽引する事業となることが期待されるか
- グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか
- 複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか
- 経済的波及効果・経営資源の有効活用が期待できるか
- 先端的なデジタル技術の活用・低炭素技術の活用等を通じて、日本のイノベーションを牽引できるか
- ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、有効な投資内容となっているか
【加点項目】
審査項目とは別に、要件を満たすと加点を受けることができ、審査得点をあげることができます。
ものづくり補助金は1点、2点で合否が分かれる可能性もあるので、該当する加点項目があれば必ず適用しましょう。
成長性加点
「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」に対し、加点されます。
必要書類:経営革新計画承認書
政策加点
「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」であることを証明することで加点されます。
必要書類:履歴事項全部証明書(法人の場合)・開業届(個人の場合)
災害等加点
「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」に加点されます。
必要種類:事業継続力強化計画認定書
賃上げ加点等
「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者」
又は、
「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3% 以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者」に対して従業員数の規模に応じた加点されます。
必要書類:特定適用事業所該当通知書
ものづくり補助金の最新スケジュール
16次締切回のスケジュールは以下の通りです。
公募開始:令和5年7月28日(金) 17時~
申請受付:令和5年8月18日(金) 17時~
応募締切:令和5年11月7日(火) 17時
採択発表:令和6年1月中旬
まとめ
建設業の方でもモノづくり補助金の申請は可能です。
何らかの新しい取り組みを導入したいと考えている建設業の方には、ものづくり補助金の活用をおすすめします。
しかし、事業計画書など作成しなければならない書類は多く、本業をこなしながらの申請準備は簡単ではありません。補助金についてお悩みの方は、専門家に相談してみましょう。
申請の代行を依頼する際の費用はかかりますが、自分で申請準備をするよりも、所有時間や手間を省くことができます。