2022/10/14
2024/05/31
事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスでも申請できるのか?
個人事業主やフリーランスの方で、事業再構築補助金を検討してる方もいらっしゃると思います。
今回の記事では、事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスは対象になるのか、申請要件や対象経費などをわかりやすく解説していきます。
目次
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金は、新しい事業展開を検討する中小・中堅企業向けの補助制度として注目されている補助金の1つです。
ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の新分野、事業転換、業種転換、または事業再編という思い切った事業再構築にかかる経費を、国が支援してくれる制度です。
事業再構築補助金は個人事業主でも申請可能!
事業再構築補助金は、個人事業主の方でも申請することが可能です。
会社のみならず、様々な形態の法人や個人事業主など幅広く対象となっています。
ただし、申請するには、以下の要件を満たす必要があります。
事業再構築補助金の申請要件
事業再構築補助金に申請するには、以下の申請要件を満たす必要があります。
1.開業届を提出している
個人事業主として法的に認められるには、開業届を税務署に提出していることが条件となります。
開業届を提出していなければ、個人事業主を名乗ることは出来ず、事業再構築補助金の対象者とはなりません。
2.事業再構築に取り組む
事業再構築補助金に申請するためには、どんな事業をしてもいいというわけではなく、以下の「6つの事業再構築」のいずれかに当てはまる事業を行う必要があります。
①新市場進出…主たる業種や事業を変更することなく、新たな商品やサービスの提供を行うこと
②事業転換…主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること
③業種転換…主たる業種を変更すること
④事業再編…会社法上の組織再編行為等を行うとともに、上記3つの類型「新市場進出」「事業転換」「業種転換」のいずれかを行うこと
⑤国内回帰…海外で製造等する製品について、日本でも生産できるように、国内生産拠点を整備すること
⑥地域サプライチェーン維持・強靭化…地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠であり、その供給に不足が生じている、または生じてしまう恐れがある製品について、日本でも生産できるように、国内生産拠点を整備すること
3.認定経営革新等支援機関と事業計画書を策定し、確認を受けること
事業再構築補助金では、事業計画書を認定経営革新等支援機関と共同で策定し、確認を受けることが必要です。
認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。
4.付加価値を向上させる
事業再構築補助金では、以下のどちらかを満たす事業計画書を策定する必要があります。
- 補助事業終了後3~5年で、付加価値額を年率平均3.0%以上増加させる
- 従業員一人当たり付加価値額を、年率平均3.0%以上増加させる
付加価値額とは、「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足したものです。
事業再構築補助金の補助額、補助率
従業員規模に応じ、補助上限額が設定されています。
成長分野進出枠(通常類型)
項目 | 要件 |
概要 | ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者が取り組む事業再構築を支援 |
補助金額 | 【従業員数 20人以下】 100万円 ~ 1,500万円(2,000万円)
【従業員数 21~50人】 100万円 ~ 3,000万円(4,000万円) 【従業員数 51~100人】 100万円 ~ 4,000万円(5,000万円) 【従業員数 101人以上】 100万円 ~ 6,000万円(7,000万円) |
補助率 | 中小企業者等 1/2 (2/3)
中堅企業等 1/3 (1/2) |
補助事業
実施期間 |
交付決定日~12か月以内
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費(市場縮小要件を満たして申請する場合のみ) |
※()内は短期で大規模な賃上げを行う場合:事業終了時点で①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ
成長分野進出枠(GX進出類型)
項目 | 要件 |
概要 | ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する取組をこれから行う事業者の事業再構築を支援 |
補助金額 | 中小企業者等
【従業員数 20人以下】 100万円 ~ 3,000万円(4,000万円) 【従業員数 21~50人】 100万円 ~ 5,000万円(6,000万円) 【従業員数 51~100人】 100万円 ~ 7,000万円(8,000万円) 【従業員数 51~100人】 100万円 ~ 8,000万円 (1億円) 中堅企業者等 100万円 ~ 1 億円(1.5億円) |
補助率 | 中小企業者等 1/2 (2/3)
中堅企業等 1/3 (1/2) |
補助事業
実施期間 |
交付決定日~14か月以内
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日からか16月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費 |
※()内は短期で大規模な賃上げを行う場合:事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること
コロナ回復加速化枠(通常類型)
項目 | 要件 |
概要 | 今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や、事業再生に取り組む事業者の事業再構築を支援 |
補助金額 | 【従業員数 5人以下】 100万円 ~ 1,000円
【従業員数 6~20人】 100万円 ~ 1,500万円 【従業員数 21~50人】 100万円 ~ 2,000万円 【従業員数 51人以上】 100万円 ~ 3,000万円 |
補助率 | 中小企業者等 2/3
中堅企業等 1/2 |
補助事業
実施期間 |
交付決定日~12 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 14 か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
項目 | 要件 |
概要 | コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援 |
補助金額 | 【従業員数 5人以下】100万円~500万円
【従業員数 6~20 人】100万円~1,000万円 【従業員数 21人以上】100万円~1,500万円 |
補助率 | 中小企業者等 3/4(2/3)
中堅企業等 2/3(1/2) |
補助事業
実施期間 |
交付決定日~12 か月以内
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14 か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費 |
※補助率()内はコロナ借換要件を満たさない場合
サプライチェーン強靭化枠
項目 | 要件 |
概要 | ポストコロナの経済社会において、海外で製造等する製品の国内回帰や地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠な製品の生産により、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中小企業等に対する支援 |
補助金額 | 1,000 万円 ~ 5億円以内
※建物費がない場合は3億円以内 |
補助率 | 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3 |
補助事業
実施期間 |
交付決定日~28か月以内
(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から30か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費 |
事業再構築補助金の補助対象経費
事業再構築補助金の対象経費は以下のとおりです。
対象経費 | 内容 |
建物費 | 建物の建設・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復等
※新築に関しては、補助事業の実施に必要不可欠であること、代替手段が存在しない場合に限り認められ、「新築の必要性に関する説明書」を提出する必要があります。 |
機械装置・
システム構築費 |
機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、専用ソフトウェア・情報システム等の購入 |
技術導入費 | 本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費 |
専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。 |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 |
外注費 | 本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費 |
知的財産権等関連経費 | 新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費 |
広告宣伝・販売促進費 | 本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費 |
研修費 | 本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費 |
廃業費 | 廃業手続費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用 |
事業再構築補助金のスケジュール
第12回の公募スケジュールは以下のとおりです。
- 公募開始:令和6年4月23日(火)
- 応募締切:令和6年7月26日(金)18:00
- 採択発表:令和6年10月下旬~11月上旬頃(予定)
まとめ
事業再構築補助金は、個人事業主やフリーランスの方も対象となります。
補助金額も高く、新たな事業へチャレンジしていく事業者様にとって、心強い国の支援制度です。
しかし、補助金額が高いがゆえに、必要書類の準備や申請手続きは簡単なものではありませんので、申請をご検討の事業者様は、スケジュールに余裕を持った申請を行っていきましょう。