2022/7/29
2024/01/22
ものづくり補助金の小売業・卸売業の採択事例と補助対象経費について解説
ものづくり補助金とは、革新的サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善のための設備投資等を支援する補助金です。
幅広い業種が補助対象となるため、小売業・卸売業の方でも対象となります。
当記事では、ものづくり補助金を活用する小売業・卸売業の採択一覧や、対象経費などを解説していきます。
目次
ものづくり補助金の小売業・卸売業の採択一覧
ものづくり補助金の公式ホームページでは、採択された事業一覧が公表されています。
小売業・卸売業で採択された事例は、以下のものがあります。
業種 | 事業計画書名 |
飲食料品小売業 | 外販事業部製造工場 生産能力拡大及び労働生産性向上のための設備投資計画 |
飲食料品小売業 | 四国初!農産物の「低温熟成」による付加価値向上と農産加工食品の開発・販路拡大 |
機械器具小売業 | 農業機械の定期保守サービスによる山間地農家の生産性向上支援 |
無店舗小売業 | 追熟管理システム構築による山梨ブランドのキウイ販売 |
織物・衣服・身の回り品小売業 | ネットショップ7000商品の情報を一元管理&一括更新するシステムの構築 |
その他の卸売業 | 全自動両平刺機導入によるオーダーメイド置き畳の生産性向上 |
飲食料品卸売業 | リキッド凍結技術の導入による食材・加工食品の海外・県外展開 |
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 | 企業連携による新素材と製造技術の融合の取り組みと関連する生産技術の開発 |
飲食料品卸売業 | レトルト殺菌機導入による生産性向上と市場ニーズへの対応 |
その他の卸売業 | 誤嚥性肺炎予防のための嚥下の筋肉訓練具の量産化 |
飲食料品卸売業 | 特殊冷凍先端設備の導入による新たな冷凍加工を行った魚介の製造販売事業 |
各種商品卸売業 | 工芸から工業へハイブリッド化!生産性向上でグローバル成長市場へ対応 |
その他の卸売業 | ファブレスからSPAへ!変革を進めるための設備投資と体制構築 |
小売業・卸売業が活用できる、ものづくり補助金の対象経費
対象となる経費
以下の経費がものづくり補助金の対象となります。
補助対象経費の種類 | 内容 |
機械装置費 | 補助事業に使われる機械・装置、工具・器具などの費用 |
システム構築費 | 補助事業に使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築などの費用 |
技術導入費 | 補助事業の実施に必要な知的財産権等の導入にかかる費用 |
専門家経費 | 補助事業の実施のためにコンサルティングなどの専門家に支払われる費用 |
運搬費 | 運搬費、宅配・郵送料等にかかる費用 |
クラウドサービス利用費 | 補助事業に必要となるクラウドサービスの利用にかかる費用 |
原材料費 | 補助事業の試作品開発に必要な原材料および副材料の購入費用 |
外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)などの作業に一部を外部に委託する際の費用 |
知的財産権等関連経費 | 補助事業で必要となる特許の申請にかかわる弁理士の代行費用など |
グローバル市場開拓枠のみ |
|
海外旅費 | 海外事業の拡大・強化等を目的とした渡航費・宿泊費用 |
通訳・翻訳費
(海外市場開拓(JAPANブランド類型)のみ) |
補助事業遂行に必要な通訳・翻訳費(翻訳については広告宣伝・販売促進に必要な場合のみ) |
広告宣伝・販売促進費
(海外市場開拓(JAPANブランド類型)のみ) |
海外事業で展開する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成や媒体掲載費用など |
対象とならない経費
以下の経費は補助対象になりません。
- 不動産(土地の購入費、建物の建設費、増改築工事費など)
- 汎用性の高いもの(パソコン、タブレット端末など)
- 従業員に支払う人件費など
ものづくり補助金の補助率と補助金額
ものづくり補助金では、3つの申請枠から構成されています。
補助上限額や補助率は、申請される枠、類型や従業員の人数によって異なります。
現在行われている17次公募では、「省力化(オーダーメイド)枠」のみでの申請が可能となっています。
申請枠・類型 | 補助上限額と補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 | |
省力化(オーダーメイド)枠 |
【補助上限額】
従業員数 5人以下・・・・・・750万円(1,000万円) 6人~20人・・・1,500万円(2,000万円) 21人~50人・・・3,000万円(4,000万円) 51人~99人・・・5,000万円(6,500万円) 100人以上・・・8,000万円(1億円) 【補助率】 中小企業 1/2 ※ 小規模・再生 2/3 ※ ※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
|
製品・サービス高付加価値化枠 | 通常類型 |
【補助上限額】
従業員数 5人以下・・・・・・750万円(850万円) 6人~20人・・・1,000万円(1,250万円) 21人以上・・・1,250万円(2,250万円) 【補助率】 中小企業 1/2 小規模・再生 2/3 新型コロナ回復加速化特例 2/3 |
成長分野進出類型(DX・GX) |
【補助上限額】
従業員数 5人以下・・・・1,000万円(1,100万円) 6人~20人・・・1,500万円(1,750万円) 21人以上・・・2,500万円(3,500万円) 【補助率】 2/3 |
|
グローバル枠 |
【補助上限額】
5人以下・・・・3,000万円(3,100万円) 6人~20人・・・3,000万円(3,250万円) 21人以上・・・3,000万円(4,000万円) 【補助率】 中小企業 1/2 小規模 2/3 |
ものづくり補助金の対象者となる3つの条件
その1:中小企業・小規模事業者であること
ものづくり補助金の対象者となるのは、中小企業・小規模事業者です。
また創業間もない会社や個人事業主の方も申請可能です。
業種によって、資本金と従業員数の上限がそれぞれ定められており、いずれかが基準以下であれば対象になります。
業種 | 資本金 | 従業員数 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
【大企業などは申請対象外になる】
ものづくり補助金は、中小企業を対象とした補助金になりますので、大企業の傘下にあるみなし大企業は対象外となります。
- みなし大企業
- 財団法人、社団法人、医療法人、学校法人など
(一定の要件を満たすNPO法人は対象となります。)
その2.補助金申請段階で既に創業していること
申請時点で事業を開始していることが条件です。
- 法人:設立登記を行っている
- 個人事業主:税務署に開業届を提出している
その3.賃金引上げ計画の表明をしていること
対象者は以下の3つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していることが必要になります。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
③事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
まとめ
ものづくり補助金は、小売業・卸売業の方でも申請可能です。
ただし、すべての小売業・卸売業の方が対象となるわけではなく、事業規模や賃上げなどの条件を満たす必要があります。
また、対象となる経費・対象とならない経費があることや必要書類も多岐にわたります。
ものづくり補助金に申請する場合は、スケジュールや申請の流れなどを十分に把握し、余裕を持った準備をしていきましょう。