2022/10/28
2022/12/06
事業再構築補助金の応募要件とは?
目次
事業再構築補助金の事業目的
事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援する、国の補助金制度です。支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
対象者は、新型コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等です。
第7回公募から、新型コロナの影響を受けつつ、加えて、ウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰等の影響により業況が厳しい事業者の、危機に強い事業への事業再構築の取組に対し、新たな支援類型を創設し重点的に支援をしています。
事業再構築補助金の応募要件とは?
事業再構築補助金では、応募するにあたり、以下の3つの基本要件を満たす必要があります。
① コロナ禍の影響によって売上が減少していること
② 新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと
③ 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
それぞれ詳しくみていきましょう。
①コロナ禍の影響によって売上が減少していること
2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020年1月〜3月)の同3か月と比較して10%以上減少していること。※売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。
コロナ前とコロナ後の売上高を比較し、10%減少しているか、という内容になります。売上高とは、「1年間の総売上から値引きや割り戻し(売上代金の減額・返金)を行ったあとの金額」を指します。
また、売上高は事業や店舗ごとではなく、企業単体で事業や店舗の売上高を合計した数値で比較する必要があります。
②新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと
事業再構築とは、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」または「事業再編」の5つのことで、本事業に申請するためには、いずれかの類型に該当する事業計画を策定する必要があります。

「新分野展開」とは
主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。
「新分野展開」に該当するためには
(1)製品等の新規性要件
(2)市場の新規性要件
(3)売上高10%要件
上記の3つを満たす必要があります。
(1)製品等の新規性要件とは
- 過去に製造等した実績がないこと。
過去に製造等していた製品等を再製造等することは、事業再構築によって、新たな製品等を製造等しているとはいえないため。
- 製造等に用いる主要な設備を変更すること
既存の設備でも製造等可能な製品等を製造等することは、事業再構築によって、新たな製品等を製造等しているとはいえないため。
- 定量的に性能又は効能が異なること
性能や効能の違いを定量的に説明することで、新たな製品等であることを示す必要があります。
(例:既存製品と比べ、新製品の強度、耐久性、軽さ、加工性、精度、速度、容量等が、○○%向上する等)
(2)市場の新規性要件とは
- 既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
市場の新規性要件を満たすためには、新製品等を販売した際に、既存製品等の需要が単純に置き換わるのではなく、売上が販売前と比べて大きく減少しないことや、相乗効果により増大することを事業計画において示す必要があります。
(例)日本料理店が、新たにオンラインの料理教室を始める場合、オンライン料理教室を始めたことにより、日本料理店の売上は変わらないと考えられることから、市場の新規性要件を満たすと考えられる。
(3)売上高10%要件とは
- 事業再構築補助金の採択後に行う補助事業の達成目標
事業再構築補助金に採択されるためには、3〜5年間の事業修了後の時点で、補助事業の売上が全体売上の10%以上を占めるように事業計画を立てなければいけません。
【新分野展開の例】
例えば、以下のような場合には、新分野展開に該当します。
【例】製造業の場合

「事業転換」とは
新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。
「事業転換」に該当するためには
(1)製品等の新規性要件
(2)市場の新規性要件
(3)売上高構成比要件
上記の3つを満たす必要があります。
【事業転換の例】
例えば、以下のような場合には、事業転換に該当します。
【例】運輸業の場合

「業種転換」とは
新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
「業種転換」に該当するためには
(1)製品等の新規性要件
(2)市場の新規性要件
(3)売上高構成比要件
上記の3つを満たす必要があります。
- 売上高構成比要件とは
3年~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する業種が、売上高構成比の最も高い業種となる計画を策定することが必要。(売上高10%要件は不要)
【業種転換の例】
例えば、以下のような場合には、業種転換に該当します。
【例】賃貸業の場合
「業態転換」とは
製品等の製造方法等を相当程度変更することを指します。
「業態転換」に該当するためには
(1)製造方法等の新規性要件
(2)製造方法の変更の場合:製品の新規性要件
提供方法の変更の場合:商品等の新規性要件又は設備撤去等要件
(3)売上高10%要件
上記の3つを満たす必要があります。
(1)製造方法等の新規性要件とは
- 過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
過去に製造等していた方法と同じ方法で製品を製造等することは、事業再構築によって、新たな方法で製造しているとはいえないためです。
- 新たな製造方法などに用いる主要な設備を変更すること(※回復・再生応援枠は除く)
既存の設備でも製造等可能な方法で、製品等を製造等することは、事業再構築によって、新たな方法で製品を製造等しているとはいえないためです。
- 定量的に性能又は効能が異なること
性能や効能の違いを定量的に説明することで、新たな製造方法等が有効であることを示す必要があります。
【業態転換の例】
例えば、以下のような場合には、業態転換に該当します。
【例】小売業の場合

「事業再編」とは
会社法上の組織再編行為等を補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことを指します。
「事業再編」に該当するためには
(1)組織再編要件
(2)その他の事業再構築要件
上記の2つを満たす必要があります。
(1)組織再編要件とは
組織再編要件とは、「合併」「会社分割」「株式交換」「株式移転」又は「事業譲渡」等 を指します。
【事業再編の例】
例えば、以下のような場合には、事業再編(新分野展開)に該当します。
【例】飲食業の場合

③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。
【認定経営革新等支援機関とは】
認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことです。
まとめ
お読みいただきありがとうございます。事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の環境変化を受けて、「自社の強みを活かして、どのような新しい価値を生み出せるか」、日々の事業を通じて感じていることを見つめ直して言葉にすることです。とはいえ、申請したすべての事業者の方が採択されるわけではありません。事業再構築を自社で考えるのは、難しい、ハードルが高いという方は、ぜひ補助金の申請サポートの活用を検討してみてください。
NS&パートナーズ会計事務所では補助金の申請サポートを行っています。実現可能性の高い事業計画の策定や手続き・補助金申請の支援を提供しています。まずはお気軽にご相談ください。