2022/6/17

2022/12/06

ものづくり補助金で採択される事業計画書のポイントとは?

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

ものづくり補助金に採択されるためのポイント

 

ものづくり補助金は、申請すれば必ずしも採択されるとは限りません。採択率を上げるためには、どんな審査項目があるのかを知り、その項目に合わせて事業内容を適切にアピールすることが重要です。

今回は、ものづくり補助金で事業計画書を作成するにあたり、採択率をUPさせるための大事なポイントを解説していきます。

 

補助対象経費の全額に妥当性があるか

 

例えば、革新的な新サービスや製品を開発していくために設備を導入する場合、その設備投資が過剰に高性能であったり、反対に過少なスペックであった場合、その計画は適切だとは言えません。

事業計画における金額に妥当性がない場合、不採択になるケースがあります。補助対象経費の金額は妥当な額を申請しましょう。

また、本事業における発注先の選定にあたって、入手価格の妥当性を証明するために、単価50万円(税抜)以上の物件等については、2社以上から同一条件の見積をとることが必要になります。準備段階にてあらかじめ複数者から見積書を取得しておくと、採択後、円滑に事業を開始することができます。

 

 応募する補助枠独自の要件を満たしていること 

 

ものづくり補助金は2022年に大きく見直され、現在は【通常枠】【回復型賃上げ・雇用拡大枠】【デジタル枠】【グリーン枠】【グローバル展開型】から成り立っています。

 事業計画書では、この補助枠独自の要件を満たすような書き方をすることが重要です。

それぞれの概要にある要件について、見ていきましょう。

 

【一般型】

 

<通常枠>

革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援するもの

<回復型賃上げ・雇用拡大枠>

業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援するもの

<デジタル枠>

DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するもの

<グリーン枠>

温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するもの

 

【グローバル展開型】

 

海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援するも(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)

 

中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドラインに沿うこと

 

事業計画書の作成にあたっては、

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針(製造業向け)」

又は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン(サービス業向け)」

を参考にして進める必要があります。

これは、こういうことに応じてやっていってほしい、という国の方針になります。この国の方針と、やろうと思っている取り組み内容との関連性がなければ、採択は難しくなります。この指針・ガイドラインを意識した事業計画書を作成しましょう。

 

審査員に分かりやすい言葉で記載する

 

審査員は多くの事業計画書に目を通すため、審査時間が限られています。また、必ずしも分野の専門的知識をもっているとは限りません。

事業計画書を書く際は、内容根拠を示すデータや表を用意し、専門用語をなるべく使わず、誰が見ても分かりやすい事業計画書を作成するよう心掛けましょう。

 

ものづくり補助金における事業計画書

 

審査員が採択案件を決定するにあたり、大きく分けて、【基本の審査項目】+【加点項目】という2つの構成から評価しています。

 

【審査項目】

最低限おさえておくべきポイントになります。

基本の審査項目を満たしていないと、審査には通りません。

 

補助対象事業としての適格性

 審査項目として記載されているものの、この適格性とは、あくまで申請可能な条件を満たしているかという項目になります。

<以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること>

・給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる。

・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。

・事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる。

技術面

事業の革新性がある

・課題とその解決方法が明確である

事業化面

・補助事業が適切に遂行される妥当性がある

・提供する製品、サービスの市場ニーズ、マーケットが明確である

政策面 

・高い生産性を発揮し、国の政策と一致している

・雇用の創出など、地域経済や経済成長を牽引できる

 

【加点項目】 

審査項目とは別に、要件を満たすと加点を受けることができ、審査得点をあげることができます。ものづくり補助金は1点、2点で合否が分かれる可能性もあるので、該当する加点項目があれば必ず適用しましょう。

 

成長性加点 

「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」に対し加点されます。

必要書類:経営革新計画承認書

政策加点

 「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」であることを証明することで加点されます。

必要書類:履歴事項全部証明書(法人の場合)開業届(個人の場合)

災害等加点 

「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」に加点されます。

必要種類:事業継続力強化計画認定書(又は連携事業継続力強化計画認定書)

賃上げ加点等 

「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者」

又は、

「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3% 以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者」に対して従業員数の規模に応じた加点されます。

 必要書類:特定適用事業所該当通知書

 

【減点項目】

      過去3年間に、類似の補助金の交付決定を1回受けている場合、減点になります。

(過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外になります)

 ②     回復型賃上げ・雇用拡大枠において、繰越欠損金によって課税所得が控除されることで申請要件を満たしている場合

 

まとめ

ものづくり補助金の採択率は決して高いとはいえません。しかし、公募要領をしっかりと読み、審査項目をきちんと理解したうえで事業計画書を作成することで、採択の可能性を上げることができます。

また、必須の審査項目を満たしたうえで、加点項目を盛り込むと、審査の際に有利です。できる限り盛り込み、採択を目指しましょう。

 

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