2021/9/20

2022/06/20

ものづくり補助金で満たすべき3つの要件

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

よりよい事業の運営や新製品の開発などをする上で必要となるのが設備です。しかし、設備を整えるのにもお金がかかり、十分な設備を整えるのが難しいというケースもありえます。

そのような場合に利用を検討したいのが「ものづくり補助金」です。今回は、ものづくり補助金を利用するにあたって知っておきたい要件について解説します。

 

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施している補助金制度で、生産性向上を目的とした革新的な取り組みなどを行おうとしている事業者を支援することが主な目的です。

ものづくり補助金の要件を確認する前に、まずはものづくり補助金がどのような特徴を持っているのかを説明します。

 

ものづくり補助金で対象となるのは設備投資になるもの

大前提として、ものづくり補助金の対象となるのは設備投資にかかる費用です。設備投資というと大型の業務用の機械やシステムの構築などを思い浮かべるかもしれませんが、それだけが対象ではありません。

設備投資をするうえで自社では有していない専門知識が必要なときに専門家に依頼するときの経費や、導入する設備に独自の技術などが使われているケースでは特許権などの知的財産権を取得するときの経費も対象です。

ただし、機械などを設置する技術導入や、知的財産権などでは掛かった費用の1/3、専門家に依頼する専門家経費などではかかる費用の1/2、と補助率に違いがあるので注意が必要です。

ものづくり補助金には大きく分けて2種類の型がある

ものづくり補助金は、「一般型」と「グローバル型」2つの型があります。

ものづくり補助金:一般型

一般型では新製品・新サービスの開発・生産性プロセスの改善などにかかる機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費などが補助対象です。

通常の補助率であれば1/2ですが、小規模事業者であれば2/3となり、最大で1,000万円まで補助を受けることができます。

ものづくり補助金:グローバル型

グローバル型はその名の通り、海外事業の拡大や強化を目的とした設備投資などの費用が対象です。例えば、海外直接投資や海外市場開拓、インバウンド市場開拓、海外事業者との共同事業などを行っている事業者の方が対象となります。海外渡航費も補助対象となるほかは、経費と認められるものは一般型と大きな違いはありません。補助額は最大3,000万円です

ものづくり補助金に応募するための要件は主に3つ

ものづくり補助金は事業を拡大したり、ビジネスモデルの転換を目指したりする際に非常に有用な補助金制度です。しかし、ものづくり補助金を利用するには事業者が満たしておかなくてはならない要件があります。主な要件は次の3つです。

  • すでに創業していること
  • 中小企業であること
  • 賃金引上げ計画の表明をしていること

 

要件1:すでに創業していること

ものづくり補助金は、すでに行っている事業に対して導入する設備の費用を補助してくれるものです。その性質上、ものづくり補助金は、すでに開業している事業者でなくては利用することができません。創業前に補助金を利用しようと考えている方には向かない制度と言えます。

このとき、特に注意が必要になるのが個人事業主の方です。個人事業主の方のなかには開業届を提出していない方がいらっしゃいますが、ものづくり補助金に応募するには開業届が必須です。ますは開業届の提出から始めましょう。

要件2:中小企業であること

ものづくり補助金は、中小企業でなくては利用することができません。さらにいうと、日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業が対象です。

中小企業の範囲は、中小企業庁の定める「中小企業・小規模企業者の定義」によって定められており、基本的には資本金の額と従業員数によって決まります。業種によって中小企業と認められる資本金の額や従業員数は異なってくるので、注意が必要です。

中小企業に該当するのは次の表の資本金または従業員数に当てはまる場合です。

業種 資本金の額 従業員数
製造業、建設業、運送業、ソフトウエア業 情報処理サービス業その他 3億円以下 300人以下
ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
その他サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

 

みなし大企業は対象外

中小企業の範囲を考えるうえで注意しなくてはいけないのが、中小企業の規模でありながら大企業の傘下に入っていたり出資関係にあったりする、いわゆる「みなし大企業」です。

みなし大企業は、中小企業基本法では中小企業として認められています。しかし、ものづくり補助金においては対象外です。というのは、たとえ事業規模が中小企業の範疇であったとしても「みなし大企業は大企業のコントロール下にある」との考えから、ものづくり補助金の対象とは不適切とみなされるためです。

要件3:賃金引上げ計画の表明をしていること

ものづくり補助金では、以前から賃金の引き上げ計画を表明していることが審査のうえで加点対象となっていました。逆に言えば、表明しなくても特に応募する上では問題はなかったのです。しかし、2020年度のものづくり補助金からは「賃金の引き上げ計画を表明していること」が必須の要件として新たに設けられました。加点の要件と勘違いをして省いてしまうと、そもそも審査にすら進めないので、要注意です。

賃金の引き上げ計画の表明は単純に賃金を上げればいいというものではなく「給与支給総額年1.5%以上増加の要件」と「事業場内の最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上高いこと」の2点を達成する必要があります。

ただし、ものづくり補助金に応募する段階では実際に賃金の値上げまで踏み切る必要はありません。3~5年賃金引き上げの計画を従業員に表明しているだけで大丈夫です。

 

ものづくり補助金の審査で最も重要な要件は「革新性」

すでに創業していることや中小企業であること、賃金引き上げ計画の表明などは、ものづくり補助金に応募する上で最低限満たしていなくてはいけないものです。

ものづくり補助金の審査を通過するためには、いくつか設定されている評価項目で高い評価を得る必要があります。そして、評価項目で特に重視されているといわれるのが「革新性」です。

 

革新性はただ設備を新調するだけでは認められない

革新性と一口に言っても、その言葉が指すところは曖昧で、つかみどころがありません。しかし、一般的には「既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む)を伴う新製品・新サービスの革新的な開発となっているか」というのが論点となります。具体的には「自社になく、他社でも一般的ではない新商品や新サービスの開発や生産」が現実的な目標となるでしょう。

いずれにしても自社にとっては新商品でも世の中にありふれた物だとか、古い設備を更新するだけの設備投資では「革新性」の要件を満たしているとは言えず、審査に通過するのは難しくなるでしょう。

革新性ばかり追求して事業性を度外視するのもNG

ものづくり補助金は国のお金、つまり国民の税金で賄われています。そのため、ものづくり補助金を利用する事業者には、社会経済へのある程度の寄与が求められます。

仮に他社がまったく手を付けていない分野で革新性のある事業計画を立てても、消費者のニーズが乏しく、事業の将来性も見込めないような内容だと審査には通りません。事業として成立する革新性を持った事業計画を立てることが大切です。

 

ものづくり補助金の審査で加点の対象となる「経営革新計画」

ものづくり補助金の審査の結果は、申請書の内容+加点項目によるポイントによって決まります。審査でライバルよりも一歩リードするためには申請内容を充実させていることはもちろんですが、加点項目でいかに取れるポイントを取るのか、ということです。そして、加点対象としてよく話題に上るのが「経営革新計画」です。

 

経営革新とは事業の経営を一定程度向上させること

ものづくり補助金での経営革新は、補助対象となる事業において「経営の相当程度の向上」をさせることが目的と位置付けられています。

簡単にまとめると、設備投資を行うことで経営がある程度向上させることができればいいのです。

もちろん、経営が向上したかどうかの判断には明確な基準があります。主に「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」と「経常利益」によって判断され、前述の2項目は年率平均3%以上の向上、後述の経常利益は年率平均1%以上を向上させる必要があります。

経営革新計画で加点を受けるには承認を受けている必要がある

経営革新計画は、作成して自社内で完結すればいいというものではありません。ものづくり補助金で加点の対象となるためには、作成した経営革新計画を都道府県または国に提出して承認を受けて、初めて加点の対象となるのです。

そのほかにも加点対象となる要件がある

その他にも加点対象となる要件はあります。例えば「事業継続力強化計画の認定を受ける」などです。

事業継続力強化計画の認定を受ける

これは防災・減災に取り組む中小企業・小規模事業者が対象となる要件です。より詳しく説明すると、「ハザードマップなどをもとにした自然災害のリスク評価や被害想定策定」「ヒト・モノ・カネを災害から守るための具体的な対策」などを策定して地方経済産業局の認定を受けるなどの取り組みを行っている必要があります。

 

まとめ

ものづくり補助金は、中小企業が設備投資を行う際には是非利用を検討して頂きたい補助金制度です。その特徴からすでに創業している中小企業の事業である必要や、賃金の値上げなど満たさなければいけない要件はありますが、事業者の方にとっては心強い制度になっています。

ものづくり補助金はライバルも多いため、採択されるためには申請書の内容はもちろん加点対象となる要件を満たすことも重要です。応募するときは自身がどんな要件を満たすことができるのかを確認することが大切です。

ものづくり補助金
申請サポートはNS&パートナーズにお任せ下さい!

\このようなお悩みはありませんか?/

  • 「補助金の申請方法や必要書類が分からない」
  • 「自分の事業が採択されるのかどうか知りたい」
  • 「ものづくり補助金の専門家にサポートしてほしい!」

ものづくり補助金に関するご相談を受け付けております。
事業計画の作成や加点項目についてのご相談も大歓迎です。
まずはお気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

03-3527-9606