2021/8/11

2024/02/16

ものづくり補助金とは?対象者や注意点を解説

この記事の監修

NS&パートナーズ会計事務所代表税理士 鈴木良洋税理士/宅地建物取引士/経営革新等支援機関(財務局・経済産業局認定)

東京都中央区八重洲にてNS&パートナーズ会計事務所を開業。
創業・独立の支援、税務・会計・決算に関する業務、税務申告書への書面添付、
自計化システム導入支援などに従事。

 

2013年からスタートしたものづくり補助金は、制度内容を更新しつつ、毎年定期的に公募を実施しており、今年で11年目に突入しました。

幅広い業種が対象となり、補助金額も大きいため、非常に人気の補助金となっています。

当記事では、そんなものづくり補助金の対象者や申請方法、注意点などをわかりやすく解説していきます。

 

ものづくり補助金とは設備投資支援等のための補助金

 

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が取り組む、革新的な製品・サービスの開発や生産性プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援する補助金です。

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業庁、および独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する補助事業です。

 

 

ものづくり補助金の対象者となる3つの申請要件

 

その1:中小企業者または個人事業主であること

ものづくり補助金の対象者となるのは、中小企業者・個人事業主です。

業種によって、資本金と従業員数の上限がそれぞれ決められており、どちらかが基準以下であれば対象となります。

【中小企業者】

業種 資本金 従業員数
製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
サービス業 ※1 5,000万円 100人
卸売業 1億円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業 ※2 3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

※1 ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く

※2 自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く

 

【小規模企業者・小規模事業者】

業種 常勤従業員数
製造業その他 20人以下の会社及び個人事業主
商業・サービス業 5人以下の会社及び個人事業主
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下の会社及び個人事業主

 

大企業などは申請対象外になる

ものづくり補助金は、中小企業を対象とした補助金になります。

大企業の傘下にあるみなし大企業等は申請対象となります。

  • みなし大企業
  • 財団法人、社団法人、医療法人、学校法人など

(一定の要件を満たすNPO法人は対象となります。)

 

 

その2:すでに創業していること

申請をする時点で事業を開始していることが条件です。

  • 法人:設立登記を行っている
  • 個人事業主:税務署に開業届を提出している

 

 

その3:基本要件を満たす事業計画の策定・実行をすること

以下の3つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していることが必要になります。

 ①事業者全体の付加価値額を年率平均+3%以上増加

 ②給与支給総額を年率平均+1.5%以上増加

 ③事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上

 

 

ものづくり補助金の対象経費

 

以下の経費がものづくり補助金の対象となります。

補助対象経費の種類 内容
機械装置費 機械・装置、工具・器具、制作など
システム構築費 専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築など
技術導入費 補助事業の実施に必要な知的財産権等の導入にかかる経費
専門家経費 補助事業の実施のためにコンサルティングなどの専門家に支払われる経費
運搬費 運搬料、宅配・郵送料等にかかる経費
クラウドサービス利用費 補助事業に必要となるクラウドサービスの利用にかかる経費
原材料費 補助事業の試作品開発に必要な原材料および副材料の購入経費
外注費 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)等の一部を外部に外注する際の経費
知的財産権等関連経費 補助事業で必要となる特許の申請にかかわる弁理士の手続代行費用など

 

対象とならない経費

以下の経費は補助対象になりませんので注意しましょう。

  • 不動産(土地の購入費、建物の建設費、増改築工事費など)
  • 自動車等車両(公道を自走することができないものおよび税法上の車両及び運搬具に該当しないもの)
  • 簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)
  • 家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
  • 電話代、インターネット利用料金等の通信費
  • 文房具などの消耗品代、新聞代、接待等の費用
  • 汎用性の高いもの(パソコン、タブレット端末など)
  • 振込手数料、各種保険料
  • 汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費

(事務用のパソコン、プリンタ、スマートフォン等)

 

補助率と補助金額

ものづくり補助金では、3つの申請枠から構成されています。

補助上限額や補助率は、申請枠・類型・従業員の人数によって異なります。

申請枠・類型 補助上限額と補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合
省力化(オーダーメイド)枠 【補助上限額】

 5人以下・・・・・・750万円(1,000万円)

  6人~20人・・・1,500万円(2,000万円)

21人~50人・・・3,000万円(4,000万円)

51人~99人・・・5,000万円(6,500万円)

  100人以上・・・8,000万円(1億円)

【補助率】

中小企業 1/2 ※

小規模・再生 2/3 ※

※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 

製品・サービス高付加価値化枠 通常類型 【補助上限額】

  5人以下・・・・・・750万円(850万円)

  6人~20人・・・1,000万円(1,250万円)

    21人以上・・・1,250万円(2,250万円)

【補助率】

中小企業 1/2 

小規模・再生 2/3 

新型コロナ回復加速化特例 2/3

成長分野進出類型(DX・GX) 【補助上限額】

  5人以下・・・・1,000万円(1,100万円)

  6人~20人・・・1,500万円(1,750万円)

    21人以上・・・2,500万円(3,500万円)

【補助率】

2/3

グローバル枠 【補助上限額】  

  5人以下・・・・3,000万円(3,100万円)

  6人~20人・・・3,000万円(3,250万円)

    21人以上・・・3,000万円(4,000万円)

【補助率】

中小企業 1/2

小規模 2/3

 

 

ものづくり補助金の申請における注意点

 

補助金は後払い

ものづくり補助金は、後払い制になります。

補助事業はまず、借入などを含む自己資金で実施する必要があります。

最終的に補助金は受給されますが、一時的に高額を負担することになり、補助金が下りるまでに時間がかかるため、資金繰りに注意が必要です。

 

 

補助金採択率は50%~60%

ものづくり補助金は、補助金の予算枠が決められているため、申請をすれば必ず通るというものではありません。

近年の採択率は5程度とされており、申請をした企業の半数は不採択となっています。

以前よりも採択率は高い傾向にありますが、いまだに狭き門となっているのが現状です。

締切回 応募者数 採択者数 採択率
7次 5,507 2,768 50.2%
8次 4,653 2,780 59.7%
9次 3,613 2,247 62.1%
10次 4,294 2,612 60.8%
11次 4,668 2,786 59.4%
12次 3,256 1,907 58.6%
13次 3,322 1,927 58.0%
14次 4,865 2,470 50.7%
15次 5,694 2,861 50.2%
16次 5,608 2,738 48.8%

 

 

採択された後にも実績報告などの手続が必要

ものづくり補助金は、採択を受けたらそれで終わりではありません。

採択後、交付申請手続きを行い、定められた補助事業期間に経費を立て替え払いしながら事業を実施します。その後、中間監査や実績報告の手続きを経て、ようやく補助金が振り込まれます。

また、補助金を受けてから5年間は、補助を受けた事業の成果報告書を提出する義務があります。

 

採択された後の手続きについて興味がある方は、下記の記事を参考にしてください。

ものづくり補助金の採択後の手続きとは?

 

 

スケジュールに注意

 

従来のものづくり補助金のスケジュールを比較して、18次締切は補助事業実施期間がかなり短縮されています。

  • 申請締切:2024年3月27日(水)17時まで
  • 採択発表:2024年6月下旬頃
  • 実施期間:2024年12月10日(火)まで

 

18次締切に採択された場合、交付申請・交付決定を経て、2024年12月10日までの補助事業実施期間内に発注・納入・検収・支払等すべての手続きを完了させ、実績報告書を提出しなければなりません。

採択されても、期間内に補助事業を終わらせることができないと、補助金を受給することができなくなりますので、計画的に補助事業を進めていきましょう。

 

 

まとめ

ものづくり補助金は、税金を使用した国の補助金であるため、申請の準備から受給まで多くの段階を踏んでいかなければなりません。

ですが、補助上限額も大きいため、活用すれば自己負担を軽減しながら、事業を拡大するチャンスになります。

興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。

 

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